2019/12/17(火)、アリロクマブの脳卒中への効果について検討した研究「Effect of Alirocumab on Stroke in ODYSSEY OUTCOMES」の結果をまとめました。

2019/12/17(火)、アリロクマブの脳卒中への効果について検討した研究「Effect of Alirocumab on Stroke in ODYSSEY OUTCOMES」の結果をまとめました。急性冠症候群後、積極的なスタチン治療で脂質コントロールが不十分な例18924人を対象に、アリロクマブ群とプラセボ群とに分け、中央値2.8年間追跡した「ODYSSEY OUTCOMES」試験のサブ解析で、虚血性脳卒中、出血性脳卒中に与える影響を検討しました。結果、アリロクマブ群はプラセボ群と比べ、脳卒中(HR 0.72 95%CI 0.57-0.91)、虚血性脳卒中(HR 0.73 95%CI 0.57-0.93)、出血性脳卒中(HR 0.83 95%CI 0.42-1.65)、いずれも低下を認めました。脳血管疾患の既往歴のある群944例(5.0%)と既往のない群とで比較検討しましたが、同様の傾向を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.043826
ODYSSEY OUTCOMES試験ではアリロクマブ群の治療目標はLDL 25-50mg/dLと非常に強力な脂質コントロール目標の設定をしています。LDLコレステロールは下げ過ぎてはいけないという説がありましたが、脳出血を増やすことなく、一次予防においても二次予防においても脂質コントロールを行うことは安全かつ有効に脳卒中を減らすことがわかりました。アリロクマブ(プラルエント)は、添付文書上の効能効果は「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症 ただし、以下のいずれも満たす場合に限る・心血管イベントの発現リスクが高い・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMGCoA還元酵素阻害剤による治療が適さない」と記載されています。
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066472.pdf
非常に強力に脂質コントロール効果の高い薬なのですが、注射薬であること、高価であること、処方可能な医師は制限があることなどが課題です。お茶の水循環器内科の方針としてはPCSK9阻害薬が必要と考えられる場合には一度、専門の医療機関へ紹介としています。詳しくは主治医までご相談ください。

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