2020/1/16(木)、HDLコレステロール機能と急性冠症候群の関係を調べた研究「Dysfunctional HDLs are Associated with a Greater Incidence of Acute Coronary Syndrome in a Population at High Cardiovascular Risk: A Nested-Case Control Study」の結果をまとめました。

2020/1/16(木)、HDLコレステロール機能と急性冠症候群の関係を調べた研究「Dysfunctional HDLs are Associated with a Greater Incidence of Acute Coronary Syndrome in a Population at High Cardiovascular Risk: A Nested-Case Control Study」の結果をまとめました。HDLコレステロール(high-density lipoprotein cholesterol)は動脈硬化に対して防御的(atheroprotective role)に働くと言われていますが、HDLコレステロールの量だけではなく、HDLコレステロールの機能(HDL functional characteristics)と心血管疾患の関係について調べました。スペインの登録研究PREDIMED (Prevención con Dieta Mediterránea) において、急性冠症候群167例を対象に、HDLコレステロール関連指標として、血漿中HDLコレステロール濃度、コレステロール流出能(cholesterol efflux capacity)、HDL酸化炎症指数によって測定された抗酸化能(antioxidant ability measured by the HDL oxidative-inflammatory index)、ホスホリパーゼA2活性、スフィンゴシン1リン酸、アポリポ蛋白A1、アポリポ蛋白A-IV、血清アミロイドA、アポリポ蛋白Bを調べました。ロジスティック回帰解析の結果、コレステロール流出能(OR1SD 0.58 95%CI 0.40-0.83)、スフィンゴシン1リン酸(OR1SD 0.70 95%CI 0.52-0.92)、アポリポ蛋白A-I(OR1SD 0.58 95%CI 0.42-0.79)は、急性冠症候群のハイリスクと関連を認めました。酸化炎症指数高値(OR1SD 1.27 95%CI 0.99-1.63)、コレステロール流出能低値(OR1SD 0.33 95%CI 0.18-0.61)、スフィンゴシン1リン酸(OR1SD 0.60 95%CI 0.40-0.89)、アポリポ蛋白A-1(OR1SD 0.59 95%CI 0.37-0.93)は心筋梗塞のリスクと関連していました。酸化炎症指数高値(OR1SD 1.53 95%CI 1.01-2.33)、アポリポ蛋白A-1低値(OR1SD 0.52 95%CI 0.31-0.88)は不安定狭心症と関連していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.041658
一般的に善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールですが、一般的な検診等では、HDLコレステロールの量しか測定はしませんが、HDLコレステロールの量だけではなく、HDLコレステロールの質も重要ではないかという研究です。一般的に悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールにおいても、LDLコレステロールの量だけでなく、アポリポ蛋白やレムナントコレステロール等、コレステロールの質も重要であることがわかって来ています。

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