2020/1/29(水)、血糖降下薬の心血管疾患へ与える影響についてアンブレラレビュー「Association of glucose-lowering medications with cardiovascular outcomes: an umbrella review and evidence map」の結果をまとめました。

2020/1/29(水)、血糖降下薬の心血管疾患へ与える影響についてアンブレラレビュー「Association of glucose-lowering medications with cardiovascular outcomes: an umbrella review and evidence map」の結果をまとめました。PubMed、Embase、Cochrane Libraryから10クラスの糖尿病治療薬に関する232のメタ解析を集めました。主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全、不安定狭心症、心房細動)のリスク増加に関わっていたものは、グリメピリド(脳卒中 RR 2.01 95%CI 1.02–3.98)、ロシグリタゾン(心筋梗塞 RR 1.28 95%CI 1.02–1.62、心不全 RR 1.72 95%CI 1.31–2.27)、ピオグリタゾン(心不全 RR 1.40 95%CI 1.16–1.69)でした。リスク低下に関わっていたものは、GLP1受容体作動薬全体(主要心血管イベント RR 0.88 95%CI 0.84–0.92、心血管死 0.87 0.81–0.94、心筋梗塞 0.92 0.86–0.99、脳卒中 0.84 0.77–0.93、心不全0.90 0.83–0.99)、アルビグルチド(主要心血管イベント 0.81 0.68–0.96、心筋梗塞 0.77 0.64–0.92、心不全 0.71 0.55–0.93)、デュラグルチド(脳卒中 0.78 0.64–0.96)、エキセナチド(主要心血管イベント 0.91 0.83–1.00)、リラグルチド(主要心血管イベント 0.86 0.77–0.96)、セマグルチド(主要心血管イベン 0.76 0.62–0.92、脳卒中 0.67 0.45–1.00)、SGLT2阻害薬全体(主要心血管イベント 0.87 0.82–0.93、0.82 0.75–0.90、心筋梗塞 0.86 0.78–0.94、心不全 0.68 0.63–0.73)、カナグリフロジン(主要心血管イベント 0.84 0.75–0.93、心血管死 0.82 0.71–0.96、心不全 0.65 0.54–0.78)、ダパグリフロジン(心不全 0.70 0.60–0.82)、エンパグリフロジン(主要心血管イベント 0.85 0.77–0.94、心血管死 0.62 0.50–0.78、心不全 0.64 0.53–0.77)、ピオグリタゾン(主要心血管イベント 0.84 0.74–0.96、心筋梗塞 0.80 0.67–0.95、脳卒中 0.79 0.65–0.95)でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(19)30422-X/fulltext
アンブレラレビュー(Umbrella review)とは、メタ解析のメタ解析などと呼ばれ、既存の研究のまとめさらに総まとめしたものです。情報が多過ぎて迷ってしまいますが、基本的にはSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は心血管疾患を減らすエビデンスが豊富ということです。SU薬は副作用に注意ですが、確実な血糖降下作用はあります。チアゾリジンは心不全は増やすが、主要心血管イベントは減らすという特徴的な結果となっています。ビグアナイド、DPP4阻害薬、αグルコシダーゼ阻害薬が心血管疾患へのエビデンスが意外に弱いということも改めて再確認出来ました。

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