2020/2/14(金)、ST上昇型心筋梗塞に対して120分以内にPCIを行う群と120分以降にPCIを行う群と冠動脈内血栓溶解療法を行う群とで5年予後を追跡した研究「Five-year outcomes following timely primary percutaneous intervention, late primary percutaneous intervention, or a pharmaco-invasive strategy in ST-segment elevation myocardial infarction: the FAST-MI programme」の結果をまとめました。

2020/2/14(金)、ST上昇型心筋梗塞に対して120分以内にPCIを行う群と120分以降にPCIを行う群と冠動脈内血栓溶解療法を行う群とで5年予後を追跡した研究「Five-year outcomes following timely primary percutaneous intervention, late primary percutaneous intervention, or a pharmaco-invasive strategy in ST-segment elevation myocardial infarction: the FAST-MI programme」の結果をまとめました。ST上昇型心筋梗塞(ST-segment elevation myocardial infarction: STEMI)のガイドラインでは、プライマリPCIが可能な場合は120分以内に、プライマリPCIが120分以内に可能でない場合には冠動脈内血栓溶解療法を行い、セカンダリPCIを行うように推奨されています。しかし、リアルワールドで直接的なエビデンスは不足しており、しばしば120分を超えてプライマリPCIが行われることがありました。プライマリPCIを20分以内(timely)に行う群と、120分以降(late)で行う群、冠動脈内血栓溶解療法を行う群の5年予後を調べるために、フランスにおいて、急性心筋梗塞の登録プログラム「FAST-MI」(French registry of Acute ST-elevation and non-ST-elevation Myocardial Infarction)において、2005年から2010年まで、ST上昇型心筋梗塞4250例のうち、発症から初期救急要請まで12時間以内で再灌流療法を受けた2942例を対象に、再灌流療法のストラテジー別に解析しました。結果、心電図検査から120分以内にPCIを受けた群(timely PCI群)1288例(54%)、120分以降にPCIを受けた群(late PCI群)830例(28%)、冠動脈内血栓溶解療法を受けた群824例(28%)でした。5年生存率は、冠動脈内血栓溶解療法群(89.8%)、late PCI群(79.5% 調整後HR 1.51 95%CI 1.13–2.02)、timely PCI群(88.2% 調整後HR 1.02 95%CI 0.75–1.38)でした。ガイドラインで推奨された120分以内のPCIの有効性をサポートするものであり、120分を超えたPCIは冠動脈内血栓溶解療法よりも予後が悪いことがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://academic.oup.com/eurheartj/article-abstract/41/7/858/5572227
フランスにおけるPCIのリアルワールドデータの研究結果です。やはり、早ければ早いほうが良いということが明らかになりました。お茶の水循環器内科では急性心筋梗塞と診断した場合に速やかにカテーテル治療が可能な高次医療機関へ緊急搬送可能な連携体制が整っています。高血圧、糖尿病、脂質異常症、現在または過去の喫煙歴等、冠危険因子を持っており、胸部圧迫感や胸部絞扼感など急性心筋梗塞を疑う症状を感じた場合には放置せず医療機関を受診ください。

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