2020/3/2(月)、コントロール不良の高血圧に対するコーチングアプリケーションとトラッキングアプリケーションの家庭血圧モニタリングへの影響について検討した研究「Effect of Home Blood Pressure Monitoring via a Smartphone Hypertension Coaching Application or Tracking Application on Adults With Uncontrolled Hypertension A: Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/3/2(月)、コントロール不良の高血圧に対するコーチングアプリケーションとトラッキングアプリケーションの家庭血圧モニタリングへの影響について検討した研究「Effect of Home Blood Pressure Monitoring via a Smartphone Hypertension Coaching Application or Tracking Application on Adults With Uncontrolled Hypertension A: Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。モバイルアプリケーションは高血圧のセルフマネジメントの改善を手助けするかも知れませんが、エビデンスは十分ではありません。人工知能を用いたスマートフォンコーチングアプリケーション(artificial intelligence smartphone coaching app)が、血圧を記録するだけのアプリケーションと比べて、家庭血圧モニタリング、収縮期血圧に応じた高血圧に関連した生活改善を促進するか調べるために、無作為化比較試験を行いました。2017年から2019年まで、コントロール不良の高血圧を対象に、6ヶ月間追跡しました。 スマートフォンコーチングアプリケーション介入群では、家庭血圧モニタリングと家庭血圧計による家庭血圧に応じた行動変容のコーチングを受け、対照群では家庭血圧計と家庭血圧のトラッキング機能のみのアプリケーションを使いました。一次アウトカムとして6ヶ月後時点の収縮期血圧、二次アウトカムとして自己申告による降圧薬のアドヒアランス、家庭血圧モニタリング、自己管理、血圧に関連した自己効力感(self-efficacy)、体重、自己申告による健康行動としました。333 名が参加し、297名の追跡が完了しました。6ヶ月後の収縮期血圧の平均値は、132.3mmHgと135.0mmHg(調整後差 −2.0mmHg 95%CI −4.9mm Hg to 0.8mmHg P=0.16)で有意差を認めませんでした。6ヶ月後の血圧コントロールに関する自己信頼感(self-confidence)は介入群で向上を認めましたが、両群間で二次アウトカムに差を認めませんでした。血圧コントロール不良に対して、スマートフォンコーチングアプリケーションによる介入は、血圧トラッキングのみのアプリケーションと比べて差を認めませんでした。収縮期血圧に与える影響や治療効果の違いについて、さらなる研究が求められると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2761794
ここ数年注目されている人工知能によるコーチングによる生活習慣病の改善ですが、「iSmartHyp」というスマートフォンアプリケーションについて比較対照試験を行った結果、効果がなかったという研究結果です。高血圧の非薬物療法は、減塩、運動、禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレスマネジメント等であり、これは人工知能が介入してもしなくても大きな違いはありません。実際に行動としてどれだけ実行されるか、継続されるかが重要であり、テクノロジーはそのための手段でしかありません。

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