2020/3/28(土)、左室駆出率の低下した心不全に対するVericiguatの効果を調べた研究「Vericiguat in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: VICTORIA Study」の結果をまとめました。

2020/3/28(土)、左室駆出率の低下した心不全に対するVericiguatの効果を調べた研究「Vericiguat in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: VICTORIA Study」の結果をまとめました。Vericiguatは、新規の経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(soluble guanylate cyclase stimulator)で、心不全で左室駆出率の低下した例に対する効果を検討するために、第3相試験として無作為化二重盲検下比較対照試験を行いました。NYHA分類IIからIVの慢性心不全で左室駆出率が45%未満の5050例を対象に、Vericiguat 10mgを1日1回投与する群2524例と、プラセボ群に分け、ガイドラインに従った標準治療を行いました。主要転帰は心血管死、心不全入院の複合としました。中央値10.8ヶ月の追跡の結果、心血管死及び心不全入院は、Vericiguat群897例(35.5%)、プラセボ群972例(38.5%)に発生、有意差(HR 0.90 95%CI 0.82 to 0.98 P=0.02)を認めました。心不全入院(27.4% vs 29.6% HR 0.90 95%CI 0.81 to 1.00)、心血管死(16.4% vs 17.5% HR 0.93 95%CI 0.81 to 1.06)でした。全死亡及び心不全入院の複合は有意に減少(37.9% vs 40.9% HR 0.90 95%CI 0.83 to 0.98 P=0.02)を認めました。症候性低血圧(9.1% vs 7.9% P=0.12)、失神(4.0% vs 3.5% P=0.30)は有意差を認めませんでした。ハイリスク心不全において、心血管死、心不全入院はVericiguat群においてプラセボ群と比べ有意に低下を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1915928
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬「Vericiguat」の第3相治験です。可溶性グアニル酸シクラーゼは血管平滑筋細胞内でNOによって活性化され、サイクリックGMPを生成、血管拡張を促進します。可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬としては既にアデムパス(リオシグアト)が「慢性血栓塞栓性肺高血圧症・肺動脈性肺高血圧症」の適応で承認されています。既存の利尿薬等で十分にコントロール出来ない慢性心不全に対して適応となるのでしょうか。新しい情報がわかり次第お知らせします。

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