2020/3/11(水)、ギャンブル依存症に対するチャットボット型メッセージアプリケーションによる認知行動療法の有効性について調べた日本の研究「Unguided Chatbot-Delivered Cognitive Behavioural Intervention for Problem Gamblers Through Messaging App: A Randomised Controlled Trial」の結果をまとめました。

2020/3/11(水)、ギャンブル依存症に対するチャットボット型メッセージアプリケーションによる認知行動療法の有効性について調べた日本の研究「Unguided Chatbot-Delivered Cognitive Behavioural Intervention for Problem Gamblers Through Messaging App: A Randomised Controlled Trial」の結果をまとめました。ギャンブル依存症に対して対面でのサポートの代替手段としてインターネットを介した治療の有効性を検証するために、メッセージアプリケーション「GAMBOT」の無作為化比較対照試験を行いました。ギャンブル依存症197例を対象に、介入前後のギャンブル依存症重症度指標(Problem Gambling Severity Index: PGSI)、ギャンブル依存症評価スケール(Gambling Symptom Assessment Scale: G-SAS)を指標に、GAMBOT群96例では28日間、認知行動理論(cognitive behavioural theory)に基づいた個別化されたフィードバックやメッセージによる介入を行い、対照群101例では隔週でアセスメントメッセージのみを送信しました。結果、PGSI(− 1.14 95%CI − 2.75 to 0.47 p = 0.162)は改善傾向であるものの有意差を認めませんでしたが、G-SAS(− 3.14 95%CI − 0.24 to − 6.04 p=0.03)は有意に改善を認めました。離脱率は6.7%で、GAMBOT群の74例(77%)28日間のプログラムを完了しました。さらに効果的で洗練された内容のチャットボットへしていきたいと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32162075
ギャンブル依存症の治療は何か特効薬がある訳ではなく、認知行動療法が中心で、通常の対面診療においてももともと改善率が高いものではありません。介入前後の比較ではなく、対面診療との非劣性の比較を一次アウトカムに設定した研究デザインにすれば肯定的なデータが出たのではないかと感じました。この手の研究では試験デザインが重要ですね。

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