2020/3/30(月)、左主幹部冠動脈病変に対する薬剤溶出性ステントと冠動脈バイパス術のアウトカムを10年追跡した研究「Ten-Year Outcomes After Drug-Eluting Stents Versus Coronary Artery Bypass Grafting for Left Main Coronary Disease: Extended Follow-Up of the PRECOMBAT Trial」の結果をまとめました。

2020/3/30(月)、左主幹部冠動脈病変に対する薬剤溶出性ステントと冠動脈バイパス術のアウトカムを10年追跡した研究「Ten-Year Outcomes After Drug-Eluting Stents Versus Coronary Artery Bypass Grafting for Left Main Coronary Disease: Extended Follow-Up of the PRECOMBAT Trial」の結果をまとめました。左主幹部冠動脈病変(left main coronary artery disease)に大して、薬剤溶出性ステントによる冠動脈カテーテル治療と行った場合と、冠動脈バイパス術を行った場合と長期予後を比較するために、「PRECOMBAT」(Premier of Randomized Comparison of Bypass Surgery versus Angioplasty Using Sirolimus-Eluting Stent in Patients with Left Main Coronary Artery Disease)研究の追跡を行いました。2004年から2009年まで、韓国、13施設において左主幹部冠動脈病変に対して、シクロリムス溶出性ステントによるPCIを行う群300例と、CABGを行う群300例、全症例を10年間(中央値11.3年)追跡を行いました。一次転帰として主要心血管イベントは全死亡、心筋梗塞、脳卒中、虚血による標的血管の再血行再建の複合としました。結果、10年間で一次転帰はPCI群29.8%、CABG群24.7%に発生、死亡、心筋梗塞、脳卒中は18.2%、17.5%、全死亡は14.5%、13.8%で、両群間に有意差は認めませんでした。虚血による標的血管の再血行再建は、PCI群はCABG群と比べて多く(16.1% vs 8.0% HR 1.98 95%CI 1.21–3.21)認めました。PRECOMBAT試験を10年間追跡した結果、左主幹部冠動脈病変に対してPCIとCABGで主要心血管イベントの発生に有意差を認めませんでした。検出力不足も考えられるため、仮説形成、さらなる研究が求められると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.046039
2011年に発表された「PRECOMBAT研究」の10年追跡結果です。主幹部病変にはCABGが一般的でしたが、PCIも非劣性であることを証明した試験です。非劣性マージンが大きいことで少し話題にもなりましたが、PCIが良いかCABGが良いかの議論はこの時代がずっと続いている論点ではあります。再血行再建はやはりCABGのほうが少ないようです。詳しくは主治医までご相談ください。


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