2020/3/12(木)、慢性腎臓病で心房細動がある場合のアピキサバンとワルファリンの有効性と安全性を比較した研究「Apixaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation and Advanced Chronic Kidney Disease」の結果をまとめました。

2020/3/12(木)、慢性腎臓病で心房細動がある場合のアピキサバンとワルファリンの有効性と安全性を比較した研究「Apixaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation and Advanced Chronic Kidney Disease」の結果をまとめました。
進行した慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)と心房細動の合併例において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist oral anticoagulants)の有効性と安全性を調べるために、「ARISTOTLE」試験では、クレアチニンクリアランス(creatinine clearance: CrCl)25-30mL/minの慢性腎臓病269例を対象に、アピキサバンとワルファリンの有効性と安全性を比較しました。大出血、大出血及び臨床的に関連する非大出血(clinically relevant non-major: CRNM)について評価しました。We characterized the pharmacokinetic profile of apixaban by assessing differences in exposure using non-linear mixed effects models.結果、クレアチニンクリアランス25-30のグループにおいては、アピキサバン群は大出血(HR 0.34, 95% CI 0.14-0.80)、大出血及び臨床的に関連のある非大出血(HR 0.35, 95% CI 0.17-0.72)はワルファリン群と比べて減少を認めました。クレアチニンクリアランス25-30の群とクレアチニンクリアランス30以上の群と比較したところ大出血(p interaction=0.08)、大出血及び臨床的に関連のある非大出血(p interaction=0.05)は有意差を認めました。アピキサバン5mg 2T内服時の定常状態における曲線下面積(areas under the curve: AUCss)は、クレアチニンクリアランス25-30群5512ng/mLhr 、クレアチニンクリアランス30以上群3406ng/mLhrでした。アピキサバン2,5mg 2T内服次ではクレアチニンクリアランス25-30群2780ng/mLhrでした。心房細動があり、クレアチニンクリアランス25-30の群では、アピキサバンはワルファリンと比べて出血が少なく、クレアチニンクリアランス30以上ではさらに出血を抑制しました。通常用量のアピキサバン5mg 2T内服がクレアチニンクリアランス25-30の群においても実際にはオーバーラップしていました。無作為化比較対照試験の結果、アピキサバンは進行した慢性腎臓病、透析中においても安全で効果的に使用出来ると論文ではまとめました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044059
アピキサバン群でも大出血は発生しているので、これを安全(safety)と表現して良いかどうかはわかりませんが、直接抗凝固薬の中の選択肢としても腎機能が悪い場合に使うのであればアピキサバンというポジショニングは確立して来ているように感じます。詳しくは主治医までご相談ください。


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