2020/3/5(木)、2型糖尿病で心不全リスクのある体重過多の成人に対して集中的な生活習慣介入の効果について調べた研究「Association of Intensive Lifestyle Intervention, Fitness and Body Mass Index with Risk of Heart Failure in Overweight or Obese Adults with Type 2 Diabetes Mellitus: An Analysis from the Look AHEAD Trial」の結果をまとめました。

2020/3/5(木)、2型糖尿病で心不全リスクのある体重過多の成人に対して集中的な生活習慣介入の効果について調べた研究「Association of Intensive Lifestyle Intervention, Fitness and Body Mass Index with Risk of Heart Failure in Overweight or Obese Adults with Type 2 Diabetes Mellitus: An Analysis from the Look AHEAD Trial」の結果をまとめました。
2型糖尿病(Type 2 diabetes mellitus: T2DM)は、心不全のリスク上昇と関連しています。生活習慣への介入による心肺機能(cardiorespiratory fitness: CRF)、BMIの変化を調べました。「Look AHEAD」(Action for Health in Diabetes)試験では、集中的な生活習慣介入(intensive lifestyle intervention: ILI)群と、糖尿病のサポートと教育(diabetes support and education: DSE)群で、心不全リスクに差があるか解析しました。トレッドミル負荷試験によるベースラインの心肺機能、BMI、心不全リスクのパラメータの長期変化を多変量調整Coxモデルによって解析しました。結果、中央値12.4年追跡、参加者5109例のうち心不全は257例発生、両群間に差(HR 0.96 95%CI 0.75 to 1.23)を認めませんでした。身体活動量を3つに分類、心不全リスクは最も低い群と比べて、中程度群39%低下(HR (95% CI) = 0.61 (0.44 to 0.83))、最も高い群62%低下(HR (95% CI) = 0.38 (0.24 to 0.59)])を認めました。心不全のサブタイプでは、既知の心血管危険因子調整後、ベースラインの心肺機能は駆出率の低下した心不全では有意な関係を認めませんでしたが、対照的に、駆出率の保たれた心不全の発症リスクは、中程度群で40%低下、高度群で77%低下を認めました。ベースラインのBMIは、心肺機能、既知の心血管危険因子調整後、駆出率の保たれた心不全、駆出率の低下した心不全、いずれにおいても関係を認めませんでした心肺機能を再度評価した3902例において、4年間の追跡で心肺機能の改善、体重の減少を認めた例は、心不全リスクの有意な低下(心肺機能が10%向上するごとにHR (95% CI) 0.90 (0.82 to 0.99))、BMIが10%低下するごとにHR 0.80 (0.69 to 0.94))を認めました。「Look AHEAD」試験における2型糖尿病において、集中的な生活習慣介入は心不全リスクの修正は認めませんでした。ベースラインの心肺機能が高いこと、心肺機能の改善、体重の減少が継続出来ていることは心不全リスクの減少に関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044865
一次転帰では差が着かなかったものの、駆出率の保たれた心不全のリスクが運動によって最大77%低下すること、心不全リスクが、心肺機能の10%向上で10%、体重減量10%で20%減少することは大きいです。特に駆出率の低下した心不全に関してはエビデンスのある治療法がほとんど確立していないので、発症の予防が重要です。


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