2020/3/28(土)、降圧薬の投与なしにカテーテル腎デナベーション治療を行うことの効果について調べた研究「Efficacy of catheter-based renal denervation in the absence of antihypertensive medications: SPYRAL HTN-OFF MED Pivotal: a multicentre, randomised, sham-controlled trial」の結果をまとめました。

2020/3/28(土)、降圧薬の投与なしにカテーテル腎デナベーション治療を行うことの効果について調べた研究「Efficacy of catheter-based renal denervation in the absence of antihypertensive medications: SPYRAL HTN-OFF MED Pivotal: a multicentre, randomised, sham-controlled trial」の結果をまとめました。カテーテル腎デナベーション(catheter-based renal denervation)は先行研究から有意に血圧を低下させることがわかっています。「SPYRAL HTN-OFF MED」試験では、降圧薬の投与なしに腎デナベーションを行うことの効果を評価しました。2015年から2019年、オーストラリア、オーストリア、カナダ、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、日本、イギリス、アメリカの44施設で国際前向き単盲検比較試験を実施しました。高血圧は職場の収縮期血圧150mmHg以上180mmHg未満で、腎デナベーション群と、偽手術(sham procedure)に分けられました。有効性の一次エンドポイントは、24時間の収縮期血圧のベースラインから変化、有効性の二次エンドポイントは術後3ヶ月間の職場の収縮期血圧のベースラインからの変化としました。パイロット試験の結果が出る前に解析しました。311例が試験に参加、腎デナベーション群166例、偽手術群165例、有効性の一次、二次エンドポイントはともに優越性の事前確率は0.999より多く認めました。両群間の治療差は、24時間-3.9mmHg(95%CI -6.2 to -1.6)、職場の収縮期血圧-6.5mmHg(95%CI -9.6 to -3.5)でした。3ヶ月以内のデバイス関連、手術関連した安全性事象はありませんでした。腎デナベーション治療は、降圧薬の投与のない場合においても、偽手術群と比べて安全に血圧を下げることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)30554-7.pdf
降圧薬の投与なしに腎デナベーションを行うという選択肢が有効で安全であったという報告です。血圧はあまり下がっていないように見えますが、有効性を認めたということです。日本ではいきなりカテーテル治療を行いたいという人は少なそうな気もしますが、降圧薬を飲むのはどうしても嫌だけど血圧を下げたいという場合には良い選択肢なのかも知れません。


PAGETOP