2020/1/8(水)、糖尿病に合併した冠動脈疾患の臨床管理において冠血流予備量比の一律に行うことの有用性について調べた研究「Usefulness of Routine Fractional Flow Reserve for Clinical Management of Coronary Artery Disease in Patients With Diabetes」の結果をまとめました。

2020/1/8(水)、糖尿病に合併した冠動脈疾患の臨床管理において冠血流予備量比の一律に行うことの有用性について調べた研究「Usefulness of Routine Fractional Flow Reserve for Clinical Management of Coronary Artery Disease in Patients With Diabetes」の結果をまとめました。冠動脈血行再建術を考慮する例の約1/3が糖尿病を合併しており、臨床転帰の大きな決定因子であり、しばしば血行再建戦略の選択に影響を与えます。治療ガイドのための冠血流予備量比(fractional flow reserve: FFR)の有用性、冠動脈血管造影を受ける糖尿病の治療決定において、冠血流予備量比が主要有害心血管事象の発生率への影響を調べました。「PRIME-FFR」試験、2012年から2013年に実施された「POST-IT」試験(Portuguese Study on the Evaluation of FFR-Guided Treatment of Coronary Disease)、2008年から2010年に実施された「R3F」試験(French Study of FFR Integrated Multicenter Registries Implementation of FFR in Routine Practice)、2つの前向き多施設登録研究を統合しました。糖尿病あり、糖尿病なしで血管造影の結果、病変が明らかになった率、パターン、再分類による転帰、血行再建の延期も含めて解析しました。主要転帰は、1年以内の全死亡、心筋梗塞、予定外の血行再建としました。結果、1983例、男性77%、平均年齢65歳、糖尿病701例、冠血流予備量比は一例あたり1.4病変(左前下行枝58.2%、平均狭窄率56%、平均FFR 0.81)でした。冠血流予備量比による再分類は頻度が多く、糖尿病ありなしによらず同程度(41.2% vs 37.5%, P=.013)でしたが、再分類の結果、血行再建が選択された割合は糖尿病あり群において高頻度(41.5% vs 31.5% P=0.001)でした。1年後の主要有害心血管事象の発生率は再分類あり9.7%、再分類なし12.0%、有意差(P=0.37)を認めませんでした。糖尿病ありにおいて、冠血流予備量比ベースで延期を選択された群は、血行再建を選択された群と比べて、12ヶ月以内の主要有害心血管事象は低リスク(8.4% vs 13.1% P=0.04)で、糖尿病なしで延期を選択された場合と同程度(7.9% P=0.87)でした。インスリン治療の有無は転帰と関係がありませんでした。冠血流予備量比を考慮しなかった6.6%は、糖尿病の有無に関わらず主要有害心血管事象は高い発生率でした。糖尿病あり群の冠動脈疾患の管理において冠血流予備量比を一律に測定することは、治療選択の再分類の高い率と関係していました。血行再建の延期も含む、冠血流予備量比ガイドによる治療戦略の決定は、糖尿病ありの場合に有用性である可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2758311
糖尿病で冠動脈疾患を合併している場合においても冠血流予備量比の評価は有用で、ルーチンに行っても良いのではないかという報告です。


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