2020/4/3(金)、スマートフォンカメラアプリケーションの心房細動検出の正確性について調べたメタ解析「Accuracy of Smartphone Camera Applications for Detecting Atrial Fibrillation: A Systematic Review and Meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/4/3(金)、スマートフォンカメラアプリケーションの心房細動検出の正確性について調べたメタ解析「Accuracy of Smartphone Camera Applications for Detecting Atrial Fibrillation: A Systematic Review and Meta-analysis」の結果をまとめました。心房細動(Atrial fibrillation: AF)はアメリカで600万人以上が関係していると言われていますが。多くの心房細動が未診断と言われています。アメリカ人の80%以上、2億6500万人以上がスマートフォンを持っていると言われており、スマートフォンアプリケーションによる心房細動検出がありますが、アプリケーションの正確性はクリアではありませんでした。心房細動診断のスマートフォンカメラアプリケーションの正確性を検証するために、2019年まで、スマートフォンカメラを用いてユーザーの指先の脈拍の大きさと脈拍数を測定によって心房細動を診断するスマートフォンアプリケーションについての研究をMEDLINE、Embaseにて検索、データの検証、合成、二変量無作為化効果メタ解析を実施しました。「PRISMA」(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses)の診断検査正確性の報告ガイドライン(Diagnostic Test Accuracy Studies reporting guideline)に準拠しました。感度、特異度は二変量無作為化効果メタ解析、アプリケーションをスクリーニングツールとしてシミュレーションするために、65歳以上、65歳以上で高血圧あり等、別の集団グループにおいて、陽性適中率(positive predictive value: PPV)、陰性適中率(negative predictive value: NPV)のモデルを作成しました。最終的に、転帰の方法論的限界については感度分析とメタ回帰分析を行いました。結果、4つのアプリケーションについて、3852例、10本の診断精度についての研究がありました。最も古い研究は2016年に2本公開されており、最も新しい研究は2018年に4本公開されていました。アプリケーションは脈波信号を平均2分間(1-5)解析していました。メタ解析の結果、全てのアプリケーションを統合したところ、感度94.2%(95%CI 92.2%-95.7%)、特異度95.8%(95%CI 92.4%-97.7%)でした。無症状の65歳以上に対して、スマートフォンカメラアプリケーションの心房細動検出の陽性適中率は19.3%(95%CI 19.2%-19.4%)から37.5%(95% CI, 37.4%-37.6%)、陰性適中率は99.8%(95%CI 99.83%-99.84%)から99.9%(95%CI 99.94%-99.95%)でした。65歳以上で高血圧の合併があるほど、陽性適中率(20.5% 95%CI 20.4%-20.6%)、陰性適中率(39.2% 95%CI 39.1%-39.3%)は上昇しました。研究数による方法論的限界は診断パフォーマンスには一見現れませんでしたが、データの希薄性からは厳密に除外は出来ませんでした。スマートフォンカメラアプリケーションは比較的高い感度、特異度であることがわかりました。陰性適中率は高い一方で、陽性適中率はまあまあ(modest)でした。無症状の集団に対して使う場合には、真の陽性結果よりも偽陽性の数のほうが多いかも知れません。他のハイリスク集団に対してスクリーニングとして使う場合にはさらなる研究によってアプリケーションの正確性を検証し、慢性心房細動のモニター、究極的には患者の転帰向上を目指すべきであると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2763837
スマートフォンアプリケーションによる心房細動の検出精度は感度94.2%、特異度95.8%と非常に高いということがわかりました。陰性適中率も非常に高く、スクリーニングツールとしては十分に実臨床でも使えるレベルです。偽陽性問題はありますが、健診の心電図、ホルター心電図検査においても偽陰性、偽陽性はある訳です。いずれにせよ、心房細動を発見するためのツールが増えるのは良いことです。


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