2020/2/4(火)、安定虚血性心疾患における冠血流予備量比測定の実施状況と転帰について調べた研究「Utilization and Outcomes of Measuring Fractional Flow Reserve in Patients With Stable Ischemic Heart Disease」の結果をまとめました。安定虚血性心疾患において冠血流予備量比(fractional flow reserve: FFR)の測定の使用状況と臨床転帰、リアルワールドにおける冠血流予備量比の測定と安定虚血性心疾患、血管造影上の中程度狭窄の転帰に与える効果を調べるために、退役軍人の「CART」(Clinical Assessment, Reporting, and Tracking)プログラムのデータから、2009年から2017年までの間に冠動脈血管造影にて、血管造影上中程度狭窄(視覚的に40%-69%の狭窄)を認める安定虚血性心疾患を対象に、冠血流予備量比の使用状況、予後予測について、Coxプロポーショナルハザードモデルにて、冠血流予備量比ガイドの再血行再建戦略の1年後の全死亡を解析しました。結果、66施設、17989例、冠血流予備量比の測定率は、中程度病変の全例では14.8%から18.5%に、経皮的冠動脈形成術を行う例では44%から75%に、増加を認めました。1年死亡率は冠血流予備量比使用群2.8%、血管造影単独群5.9%、有意差(p<0.0001)を認めました。患者背景、施設レベル、手技因子等で補正後、冠血流予備量比ガイド再血行再建は、血管造影単独の再血行再建と比べて、1年後の死亡リスクが43%低下(HR 0.57 95%CI 0.45 to 0.71 p<0.0001)を認めました。血管造影上中程度狭窄を認める安定虚血性心疾患において、冠血流予備量比の測定は徐々に増加しており、1年後の死亡率の有意な低下に関係していることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
→http://www.onlinejacc.org/content/75/4/409
冠血流予備量比の測定ガイドの再血行再建によって1年後の死亡率が43%低下しているとは予想以上の効果です。アメリカでは医療費支払い上の基準のルールのために形式的にやっている印象がありましたが、形式だけではなく臨床的なアウトカム改善効果もあるということです。最近は日本でも急速にほとんどの施設で冠血流予備量比の測定は行われるようになりました。詳しくは主治医までご相談ください。
2020/2/4(火)、安定虚血性心疾患における冠血流予備量比測定の実施状況と転帰について調べた研究「Utilization and Outcomes of Measuring Fractional Flow Reserve in Patients With Stable Ischemic Heart Disease」の結果をまとめました。