2020/2/27(木)、COVID-19の疫学的特徴についてまとめた論文「The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 NovelCoronavirus Diseases (COVID-19) – China, 2020」の内容をまとめました。2019年、中国湖北省武漢におけるCOVID-19のアウトブレイクは急速に全土に拡大しました。2020/2/11までに診断された全症例の記述的探索的解析を実施しました。2020/2/11までのCOVID-19の全症例報告を中国感染性疾患情報システム(China’s Infectious Disease Information System)から収集しました。分析は患者特性、年齢分布、性別比率、罹患率、死亡率、地理的時間的拡大解析、流行曲線の構築、サブグループ解析を含みます。症状の重症度は、軽症(mild)、重症(severe)、危篤(critical)の3つに分類、軽症は肺炎を起こしていないか、軽度の肺炎の場合としました。重症は呼吸困難、呼吸数30回/分以上、血中酸素飽和度93%未満、PaO2/FiO2 300未満、肺野陰影が24-48時間で50%以上に拡大した例としました。危篤は呼吸不全を呈する例、敗血症性ショック、多臓器不全例しました。結果、合計72314例の記録を解析しました。確定例44672例(61.8%)、疑い例16186例(22.4%)臨床診断例10567例(14.6%)、無症状例889例(1.2%)でした。確定例では、年齢は30-79歳(86%)、湖北省で診断(74.7%)、軽症(80.9%)でした。確定例のうち死亡例は1023例で、死亡率は2.3%でした。確定例44672例うち1023例が死亡、死亡率は2.3%でした。80歳以上の群は全ての年齢の中で最も高い死亡率14.8%でした。男性の死亡率は2.8%、女性は1.7%でした。職業では、退職者が最も高い死亡率5.1%でした。湖北省在住の死亡率は2.9%で、他の地域の死亡率0.4%よりの7倍以上でした。併存疾患(comorbid conditions)のない例の死亡率は0.9%で、併存疾患があると死亡率は上昇しました。心血管疾患10.5%、糖尿病7.3%、慢性呼吸器疾患6.3%、高血圧6.0%、がん5.6%でした。危篤化した場合の死亡率は49.0%でした。COVID-19は湖北省以外へ広がり始めたのは2019年12月で、2020/2/11には1386県、31省で発見されています。流行曲線の症状発症のピークは1/23-26あたりで、2/11へ向かっては減少しています。医療従事者1716例が感染し、5例(0.3%)死亡しました。COVID-19の流行は非常に急速で、30日間で湖北省から中国全土に拡大しました。多くの国民が春節から戻るため、流行のリバンドの可能性に備える必要があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→http://weekly.chinacdc.cn/en/article/id/e53946e2-c6c4-41e9-9a9b-fea8db1a8f51
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55901380Q0A220C2EA1000
中国44672例の解析結果、併存疾患と死亡率との関係について報告した論文です。併存疾患なし0.9%、心血管疾患10.5%、糖尿病7.3%、慢性呼吸器疾患6.3%、高血圧6.0%、がん5.6%という数字は衝撃を与えました。この数字が日本でも同じに当てはまるかどうかはわかりませんが、基礎疾患がない場合の死亡率はそれほど高くない、基礎疾患がある場合には注意ということは重要です。
2020/2/27(木)、COVID-19の疫学的特徴についてまとめた論文「The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 NovelCoronavirus Diseases (COVID-19) – China, 2020」の内容をまとめました。