2020/4/23(木)、レニンアンジオテンシン系阻害薬とCOVID-19の重症化、死亡率との関係について調べた研究「Association of Renin-Angiotensin System Inhibitors With Severity or Risk of Death in Patients With Hypertension Hospitalized for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Infection in Wuhan, China」の結果をまとめました。

2020/4/23(木)、レニンアンジオテンシン系阻害薬とCOVID-19の重症化、死亡率との関係について調べた研究「Association of Renin-Angiotensin System Inhibitors With Severity or Risk of Death in Patients With Hypertension Hospitalized for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Infection in Wuhan, China」の結果をまとめました。高血圧でACE阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitors: ACEIs)、ARB(angiotensin receptor blockers: ARBs)は、COVID-19の重症化率、死亡率を増加させるかどうかはクリアではありません。ACE阻害薬、ARBとCOVID-19感染症の重症化、死亡率との関係を調べるために、2020/1/15から2020/3/15まで、中国、武漢中央病院(Central Hospital of Wuhan)のCOVID-19感染症による入院例1178例を対照に後ろ向き症例単施設蓄積研究を実施しました。COVID-19の確定診断はリアルタイム逆転写酵素PCR(real-time reverse transcription–polymerase chain reaction)によりました。疫学、臨床、放射線、臨床、薬物療法データを全例で解析しました。高血圧でACE阻害薬、ARBの内服率を重症例と非重症例、生存例と非生存例で比較しました。結果、COVID-19入院例1178例、平均年齢55.5歳(四分位範囲38-67歳)、男性545例(46.3%)でした。全体の院内死亡率は11.0%でした。高血圧362例(30.7%)、平均年齢66.0歳(四分位範囲59-73歳)、男性189例(52.2%)のうち、115例(31.8%)がACE阻害薬またはARBを内服していました。高血圧合併例の院内死亡率21.3%でした。ACE阻害薬またはARBの内服は、重症例と非重症例(32.9% vs 30.7% P=0.65)、生存例と非生存例(27.3% vs 33.0% P=0.34)、いずれも差を認めませんでした。ACE阻害薬内服例、ARB内服例、個別に解析しても同様でした。COVID-19感染例におけるACE阻害薬、ARBの内服と転帰の関係の臨床データから、ACE阻害薬、ARBとCOVID-19の重症化、死亡率には関係がないことが明らかになりました。COVID-19のパンデミック中においても、高血圧治療の最新のガイドライン、推奨を守ることを支持する結果でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/fullarticle/2765049
海外で騒動になっているACE阻害薬、ARBとCOVID-19の関係ですが、内服の有無と重症化率、死亡率、いずれも有意差は認めなかったことから、現時点においては関係がない(ACEIs/ARBs are not associated with the severity or mortality of COVID-19)と考えて良いという報告です。一連の騒動には一旦の終止符が打たれたと考えて良いでしょう。


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