2019/9/26(木)、行動変容、体重減量と2型糖尿病の寛解について調べた研究「Behaviour change, weight loss and remission of Type 2 diabetes: a community-based prospective cohort study」の結果をまとめました。
2型糖尿病と診断された後に、行動変容、体重減少と糖尿病の寛解(remission)の可能性の関係を定量化するために5年間追跡しました。40歳から69歳、新規で糖尿病と診断された867例を対象に前向きコホート研究「ADDITION-Cambridge」研究を実施しました。2002年から2006年までの段階的なスクリーニングによって同定された参加者は、体重変化、EPAQ2質問表による身体活動、血漿ビタミンCと自己申告による食事、自己申告によるアルコール消費をベースラインと糖尿病の診断後1年のデータを収集しました。寛解は、糖尿病の診断から5年後のHbA1c値によって評価しました。対数二項分布回帰モデルによって、診断後最初の1年と、1年から5年における行動と体重の変化の関係
、5年後の寛解を、5年間の追跡しました。結果、5年間の追跡で、糖尿病の寛解は257例(30%)が達成しました。体重変化のない群と比べて、糖尿病の診断後最初の1年以内に10%以上の体重減少を達成した群は、寛解の可能性が有意に高い(RR 1.77 95%CI 1.32 to 2.38 p<0.01)結果を認めました。1年後から5年後においても、10%以上の体重減少を達成した群は寛解と有意に関係(RR 2.43 95%CI 1.78 to 3.31 p<0.01)を認めました。2型糖尿病において、糖尿病の診断後早期に10%以上の体重減少を達成した群では5年後の寛解の可能性が約2倍に上がりました。これは集中的な生活習慣の介入、極端なカロリー制限なしに達成されました。2型糖尿病の診断後のフォローにおいて体重減少を達成出来るようにさらに関心を払うべきだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/dme.14122
糖尿病は治りますか?とたまに効かれますが、診断から1年以内または5年以内に体重を10%以上減らすことが出来るかどうかが重要という報告です。寛解(remission)とは、悪化せずに病状が落ち着いている状態のことで、その後も管理継続が必要であるということで、治癒(cure)とは違うのですが、悪化を防げるという事実は良いことです。体重をいきなり10%減らすのはなかなかハードルが高いですが、糖尿病の寛解の可能性が上がるのであればチャレンジする価値はあります。
2019/9/26(木)、行動変容、体重減量と2型糖尿病の寛解について調べた研究「Behaviour change, weight loss and remission of Type 2 diabetes: a community-based prospective cohort study」の結果をまとめました。