2020/3/25(水)、レニンアンジオテンシン系阻害薬とCOVID-19パンデミックについて「Renin-Angiotensin System Blockers and the COVID-19 Pandemic」の内容をまとめました。

2020/3/25(水)、レニンアンジオテンシン系阻害薬とCOVID-19パンデミックについて「Renin-Angiotensin System Blockers and the COVID-19 Pandemic」の内容をまとめました。SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus-2)の拡大、COVID-19のリスクとして、高血圧、心疾患、糖尿病、高齢等がわかって来ました。レニンアンジオテンシン系阻害薬(reninangiotensin system blockers)は多く使用されています。アンジオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2: ACE2)タンパクはウイルスの細胞内への侵入を促進する受容体であることから、レニンアンジオテンシン系阻害薬による治療はSARS-CoV-2感染の重症化、死亡リスクを増加させるのではないかという懸念が挙がりました。この記事はこの問題について議論しています。ACE2はfull-length formでは膜結合酵素で、shorter formではごく少量、血液内を循環しています。モノカルボキシペプチダーゼ(mono-carboxypeptidase)として、ACE2は、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII等のいくつかのサブスタンスの分解に関わります。アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme: ACE)阻害薬はACE2を阻害しません。なぜなら、ACEとACE2は異なる酵素だからです。アンジオテンシンII1型受容体阻害薬は動物実験においてACE2のアップレギュレーションを表すことが知られていますが、アンジオテンシンII1受容体阻害薬によっても異なりますし、臓器によっても異なり、一貫したエビデンスはありません。さらに、ACE阻害薬、アンジオテンシンII1受容体拮抗薬の投与がACE2発現を増加させて、SARS-CoV-2の侵入を促進させたことを支持するデータは動物においてもヒトにおいてもありません。実際に、動物のデータにおいて、ACE2発現が肺に対して保護的に働いた可能性、心血管効果を支持するデータもあります。まとめると、現在入手可能なエビデンスに基づいて判断すると、COVID-19に関して、レニンアンジオテンシン系阻害薬による治療は中止すべきではありません。詳しくは下記をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.120.15082
欧米で話題になっていたRAS阻害薬の件、「Hypertension」においてもRAS阻害薬は中止すべきではないという一貫した内容で解決です。日経メディカル(要会員登録)に記事の解説がありました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/202005/565326.html


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