2020/4/29(水)、SGLT2阻害薬と重大腎事象について調べた研究「Use of sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors and risk of serious renal events: Scandinavian cohort study」の結果をまとめました。

2020/4/29(水)、SGLT2阻害薬と重大腎事象について調べた研究「Use of sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors and risk of serious renal events: Scandinavian cohort study」の結果をまとめました。
日常診療におけるSGLT2阻害薬(sodium-glucose co-transporter 2 inhibitors)と重大腎事象との関係を調べるために、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーにおいて、2013年から2018年まで、登録研究データを用いたコホート研究を実施しました。SGLT2阻害薬の新規処方例29887例(ダパグリフロジン66.1%、エンパグリフロジン32.6%、カナグリフロジン1.3%)と、DPP4阻害薬(dipeptidyl peptidase-4 inhibitors)の新規処方例29887例、57項目の傾向スコアマッチングを行いました。平均追跡期間は1.7年でした。SGLT2阻害薬とDPP4阻害薬を比較しました。主要転帰は重大腎事象で、腎代替療法、腎疾患死、腎事象による入院の複合としました。二次転帰は主要転帰の個別としました。結果、平均年齢61.3%、心血管疾患11108例(19%)、慢性腎臓病1974例(3%)でした。SGLT2阻害薬の使用は、DPP4阻害薬と比べて、重大腎事象の低下と関連(2.6/1000人年 vs 6.2/1000人年 HR 0.42 95%CI 0.34 to 0.53 絶対差 −3.6 95%CI –4.4 to −2.8)を認めました。二次転帰解析では、腎代替療法(HR 0.32 95%CI 0.22 to 0.47)、腎事象による入院(HR 0.41 95%CI 0.32 to 0.52)、腎疾患死(HR 0.77 95%CI 0.26 to 2.23)でした。スウェーデン、デンマークの各感度解析では、グルコヘモグロビン、推算糸球体濾過量、血圧、BMI、喫煙等の因子をさらに調整後ハザード比は、スウェーデンにおいてHR 0.50、デンマークにおいてHR 0.42となりました。参加国の全国データ分析により、SGLT2阻害薬の使用はDPP4阻害薬の使用と比べて重大腎事象のリスク減少と有意に関係を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32349963
SGLT2阻害薬はDPP4阻害薬に比べて、透析、入院、死亡を全体で58%減らしたという報告です。個別に見ると、透析68%減少、入院59%減少、死亡22%減少とのことで、劇的な効果です。禁忌がない限り、腎保護のためにはSGLT2阻害薬を使わないというのはなくなっていくと言っても過言ではないのではないでしょうか。詳しくは主治医とご相談ください。


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