2020/4/28(火)COVID-19と若年者の大血管の脳卒中の症例報告「Large-Vessel Stroke as a Presenting Feature of Covid-19 in the Young」の内容をまとめました。
注:COVID-19に対する世界的な臨床努力において、早期に情報伝達を行うために、重要な教育的な要点、新しい発見等のために雑誌として症例報告を紹介しています。症例報告は、検査や治療の推奨というよりも、観察所見として読むようにしてください。時事的な関心の内容に関しては、キーポイントのピアレビューが必要です。
ニューヨークにおいて、50歳未満で大血管脳卒中を発症した5つの症例を報告します。SARS-CoV-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)感染は5例全例に認めました。咳、頭痛、戦慄が1週間前から続き、悪化、33歳の健康な女性、構音障害の進行、左上肢、左下肢の痺れと脱力が28時間続いていました。COVID-19を恐れて救急外来を受診、脳卒中の重症度の評価指標であるNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は19点、CT、CT血管造影検査を行ったところ、右中大脳動脈に部分的な梗塞、右頸動脈分岐部に血栓による部分閉塞を認めました。CT血管造影にて両側の肺野に結節状のすりガラス状陰影を認め、SARS-CoV-2は陽性でした。抗血栓療法を開始、その後抗凝固療法に切り替えました。脳卒中の一式検査として心エコー検査、頭部MRI、頸部MRI検査を行いましたが、塞栓源は明らかになりませんでした。入院後10日目にCT血管造影を再度撮影したところ、血栓は完全に再開通しており、退院、リハビリテーション施設へ移りました。
2020/3/23から4/7までの2週間の間に、50歳未満で、大血管の虚血性脳卒中の新規発症を認めた例が上記含む全5例ありました。5例ともCOVID-19陽性でした。比較として、過去12ヶ月において、50歳未満の大血管脳卒中に遭遇する頻度は、2週間あたり平均0.73例でした。5例、平均NIHSSスコアは17点で、重症大血管脳卒中を示唆するものでした。1例は脳卒中の既往がありました。中国武漢のCOVID-19のアウトブレイクのデータの後ろ向き研究では、COVID-19入院例の脳卒中の発生率は約5%と報告されていますが、最も若い例で55歳でした。2004年、シンガポールにおけるSARS-CoV-1のアウトブレイクにおいても大血管脳卒中との関係も報告されていました。COVID-19の合併症として、若年者の凝固異常、血管内皮機能異常についてさらなる研究が求められます。ソーシャルディスタンス、隔離、病院へ受診を控えることは不良転帰に関係するかも知れません。今回のうち2例は、パンデミックの中で病院へ行くことを懸念して救急要請が遅れていました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2009787
COVID-19で若年者の脳梗塞が増えているのではないかというニューヨークからの報告です。特定の感染症によらず、全身性の炎症によっても血栓傾向は高まります。5例のうち2例は救急車を呼ぶのを躊躇ったことも言及されています。詳しい症例報告は日経メディカルでも記事になっています。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202005/565509.html
2020/4/28(火)COVID-19と若年者の大血管の脳卒中の症例報告「Large-Vessel Stroke as a Presenting Feature of Covid-19 in the Young」の内容をまとめました。