2020/5/12、COVID-19の入院中の臨床転帰予測のための臨床リスクスコアの開発と検証についての研究「Development and Validation of a Clinical Risk Score to Predict the Occurrence of Critical Illness in Hospitalized Patients With COVID-19」の結果をまとめました。重症化する可能性の高いCOVID-19(novel corona virus disease 2019)を早期に同定することが出来れば、適切な治療選択、医療資源の最適化につながるかも知れません。中国の全国コホートに基づいて、COVID-19の重症化事例の入院時の予測する臨床スコアを開発、検証しました。中国国家衛生健康委員会と協力して、2020/1/31まで、31県の575病院において、COVID-19の後ろ向きコホート研究を確立しました。入院時の疫学、臨床、検査、画像データを収集、LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)、ロジスティック回帰を用いて、予測リスクスコア「COVID-GRAM」を開発しました。リスクスコアはCOVID-19の重症化リスクを推定します。スコアの正確性は受信者操作特性曲線下面積(area under curve: AUC)によって評価します。中国の4つのコホートからのデータを加えて、スコアを検証しました。2020/2/20から3/17まで、データ解析を実施しました。COVID-19で入院例、重症化は集中治療室への入室、侵襲的換気、死亡の複合と定義しました。結果、開発コホート1690例、平均年齢48.9歳、男性904例(57.3%)でした。検証コホート710例、平均年齢48.2例、男性382例(58.8%)でした。予測因子の可能性のある72因子の中から、10項目の独立した予測因子が特定され、リスクスコアに含めました。具体的には、胸部放射線画像異常(OR, 3.39; 95% CI, 2.14-5.38)、年齢(OR, 1.03; 95% CI, 1.01-1.05)、喀血(OR, 4.53; 95% CI, 1.36-15.15)、呼吸困難(OR, 1.88; 95% CI, 1.18-3.01)、意識障害(OR, 4.71; 95% CI, 1.39-15.98)、基礎疾患の数(OR, 1.60; 95% CI, 1.27-2.00)、がんの既往歴(OR, 4.07; 95% CI, 1.23-13.43)、好中球数リンパ球数比(OR, 1.06; 95% CI, 1.02-1.10)、LDH(OR, 1.002; 95% CI, 1.001-1.004)、直接ビリルビン(OR, 1.15; 95% CI, 1.06-1.24)でした。開発コホートにおける曲線下面積は0.88(95% CI, 0.85-0.91)で、検証コホートにおける曲線下面積は0.88(95% CI, 0.84-0.93)でした。スコアはオンラインでリスク計算式で無料で公開しました。
http://118.126.104.170
この研究から、COVID-19で入院例のリスクスコアが開発され、重症化のリスク予測として役立つであろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2766086
リスクスコアはオンラインで一般公開されており、レントゲン異常、年齢、喀血、呼吸困難、意識障害、基礎疾患の数、がんの既往歴、好中球数リンパ球数比、LDH、直接ビリルビンの10項目からなります。
2020/5/12、COVID-19の入院中の臨床転帰予測のための臨床リスクスコアの開発と検証についての研究「Development and Validation of a Clinical Risk Score to Predict the Occurrence of Critical Illness in Hospitalized Patients With COVID-19」の結果をまとめました。