2020/5/29、院外心停止のアドレナリン投与の骨髄内投与と血管内投与を比較した研究「Intraosseous versus intravenous administration of adrenaline in patients with out-of-hospital cardiac arrest: a secondary analysis of the PARAMEDIC2 placebo-controlled trial」の結果をまとめました。

2020/5/29、院外心停止のアドレナリン投与の骨髄内投与と血管内投与を比較した研究「Intraosseous versus intravenous administration of adrenaline in patients with out-of-hospital cardiac arrest: a secondary analysis of the PARAMEDIC2 placebo-controlled trial」の結果をまとめました。心停止に対する薬物療法の効果として院外心停止に対するアドレナリンの役割を検討した無作為化比較対照試験「PARAMEDIC2」(Pre-Hospital Assessment of the Role of Adrenaline: Measuring the Effectiveness of Drug Administration in Cardiac Arrest)試験にて、薬剤投与路として血管内投与(intravenous: IV)と骨髄内投与(intraosseous: IO)を比較しました。2014年から2017年まで、イングランドとウェールズにおける、5つの国立ヘルスケアサービス救急サービスにて、院外心停止にて初期心肺蘇生処置に対して反応がなかった例に対し、無作為にアドレナリン1mg投与とプラセボ投与とに割り振りました。血管内投与は可能な限り速やかに、骨髄内投与は2回の血管内投与の試行にて不可能だった場合に考慮としました。院外心停止、アドレナリン群3631例、プラセボ群3686例、それぞれ1116例(30.1%)、1121例(30.4%)は骨髄内投与を行いました。自己心拍再開のオッズ比は、血管内投与群と骨髄内投与群で同程度(aOR 4.07 (95% CI 3.42-4.85) and (aOR 3.98 (95% CI 2.86-5.53), P value for interaction 0.90)でした。30日後の生存率(aOR 1.67 (1.18-2.35) vs 0.9 (0.4-2.05), P = 0.18)、良好な神経転帰(aOR 1.39 (0.93-2.06) vs 0.62 (0.23-1.67), P = 0.14)も有意差を認めませんでした。自己心拍再開において、血管内投与群と骨髄内投与群とで治療効果の差を認めませんでした。30日後生存率、退院時の良好な神経転帰についても、血管内投与と骨髄内投与で差を認めませんでした。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32002593
心肺蘇生時のアドレナリン投与において、血管内投与と骨髄内投与で差がないという報告です。血管内投与のルートが確保出来なかった場合に骨髄内投与を考慮と習いましたが、どちらでも良いという結果です。イギリスの研究ですが、アドレナリン投与群とプラセボ群と無作為試験を行うなんてなかなかチャレンジングな研究です。


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