2020/6/3、メトホルミンがブドウ糖を消化管内スペースへ排泄することをFDG-PET-MRIによって調べた日本の研究「Enhanced Release of Glucose Into the Intraluminal Space of the Intestine Associated With Metformin Treatment as Revealed by [18F]Fluorodeoxyglucose PET-MRI」の結果をまとめました。

2020/6/3、メトホルミンがブドウ糖を消化管内スペースへ排泄することをFDG-PET-MRIによって調べた日本の研究「Enhanced Release of Glucose Into the Intraluminal Space of the Intestine Associated With Metformin Treatment as Revealed by [18F]Fluorodeoxyglucose PET-MRI」の結果をまとめました。
陽電子放射断層撮影(Positron emission tomography: PET)-CTによって、メトホルミンがブドウ糖の代謝産物、18F(fluorodeoxyglucose: FDG)の消化管内の蓄積を促進することはわかっています。しかし、FDGの蓄積が消化管内の消化管壁内に起こるのか消化管内スペースに起こるのか十分にわかっていませんでした。FDG-PET-MRIを用いて、近年、軟部組織のコントラストが向上し、領域の特定精度が向上したことから、この疑問を調べました。2型糖尿病244例、PET-MRI、年齢、BMI、HbA1c値等を一致、メトホルミン治療を受けている群(メトホルミン群)、メトホルミンなし群(対照群)と比較しました。FDGの蓄積の消化管内の違いによって、視覚的スケール、最大標準化取込値(maximum standardized uptake value: SUVmax)、消化管壁内なのか、消化管内腔なのか、SUVmaxに基づいて識別しました。結果、空腸、回腸、右結腸、左結腸におけるSUVmaxは、メトホルミン群は対照群と比べて強く認めました。回腸、右結腸、左結腸へのFDGの集積は視覚的スケールと関連、メトホルミン群で強く認めました。SUVmaxは、空腸、右結腸、左結腸の消化管内腔のスペースに認め、消化管壁には認めませんでした。この所見はメトホルミン群で対照群よりも強く認めました。メトホルミン治療はFDGの消化管内腔スペースへ蓄積と関連しており、これはメトホルミンが血液中のブドウ糖を便中へ排泄を促進している可能性を示唆しています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32493754
もう何十年も前から糖尿病治療薬として使用されているメトホルミンですが、今回、便中へブドウ糖排泄作用がある可能性が初めてわかったとの報告です。逆に今までわかっていなかったとは驚きです。神戸大学の糖尿病・内分泌内科学部門の研究グループの成果です。記事にもなっていました。
https://univ-journal.jp/32824


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