2020/6/7、COVID-19の死亡率と高血圧、降圧薬治療の関係について調べた研究「Association of Hypertension and Antihypertensive Treatment With COVID-19 Mortality: A Retrospective Observational Study」の結果をまとめました。

2020/6/7、COVID-19の死亡率と高血圧、降圧薬治療の関係について調べた研究「Association of Hypertension and Antihypertensive Treatment With COVID-19 Mortality: A Retrospective Observational Study」の結果をまとめました。COVID-19(coronavirus disease 2019)確定例において、高血圧治療が死亡率に与える影響は十分にわかっていませんでした。中国武漢、COVID-19の治療専門病院として設立された、火神山医院(Huo Shen Shan Hospital)にCOVID-19で入院した全例を対象に、後ろ向き観察研究を実施しました。高血圧、治療について、診療歴、入院時の記録によって層別化しました。入院例2877例のうち850例(29.5%)は高血圧の既往がありました。交絡因子調整後、高血圧あり群は、高血圧なし群と比べて、2.12倍の死亡率の相対リスクの有意な上昇(4.0% vs. 1.1%, adjusted hazard ratio (HR) 2.12, 95% confidence interval (CI) 1.17-3.82, P = 0.013])を認めました。高血圧の既往があり、降圧薬治療を受けていない群140例は、降圧薬治療を受けている群730例と比べて、有意に高い死亡率(7.9% vs. 3.2%, adjusted HR 2.17, 95% CI 1.03-4.57, P = 0.041)を認めました。死亡率は、レニンアンギオテンシンアルドステロン系(renin-angiotensin-aldosterone system: RAAS)阻害薬、レニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害薬以外の降圧薬で、差(2.2% vs. 3.6%, adjusted HR 0.85, 95% CI 0.28-2.58, P = 0.774)を認めませんでした。しかしながら、4つの研究のメタ解析では、レニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害薬の使用は死亡リスク低下の傾向(relative risk 0.65, 95% CI 0.45-0.94, P = 0.20)があることがわかりました。結論として、高血圧があること、降圧薬治療を中断していることは、いずれも死亡リスク増加と関連していました。今回の後ろ向き観察分析の結果、レニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害薬がCOVID-19において害があるという証拠は認めませんでした。この結果は探索的なものであることを考慮し、慎重に解釈されるべきだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32498076
レニンアンギオテンシンアルドステロン系阻害薬が害がないのは勿論のこと、降圧薬の中止が死亡リスク増加に関連しているとの報告です。やはり降圧薬は継続したほうが良いということで間違いないでしょう。


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