2020/6/7、COVID-19流行期における心筋梗塞の入院、死亡率の変化について調べたイタリアの研究「Reduction of Hospitalizations for Myocardial Infarction in Italy in the COVID-19 Era」の結果をまとめました。

2020/6/7、COVID-19流行期における心筋梗塞の入院、死亡率の変化について調べたイタリアの研究「Reduction of Hospitalizations for Myocardial Infarction in Italy in the COVID-19 Era」の結果をまとめました。COVID-19のパンデミックがイタリアの心臓病治療室(cardiac care units: CCU)に及ぼす影響を評価しました。イタリアの心臓病治療室にて、急性心筋梗塞の入院データを収集する多施設観察全国調査を実施、COVID-19アウトブレイク期の1週間と、2019年の同時期の1週間を比較しました。結果、2019年の同時期の週と比べて、急性心筋梗塞による入院は48.4%有意に減少(P < 0.001)していました。ST上昇型心筋梗塞(STEMI; 26.5%, 95% confidence interval (CI) 21.7-32.3; P = 0.009)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI; 65.1%, 95% CI 60.3-70.3; P < 0.001)、いずれにおいても有意な減少を認めました。ST上昇型心筋梗塞においては、女性(41.2%; P = 0.011)は、男性(17.8%; P = 0.191)と比べて、より減少していました。急性心筋梗塞の入院の減少は、北イタリア(52.1%)、中央イタリア(59.3%)、南イタリア(52.1%)においても同様でした。パンデミック期におけるST上昇型心筋梗塞例の死亡率は、2019年と比べて有意な上昇(risk ratio (RR) = 3.3, 95% CI 1.7-6.6; P < 0.001)を認めました。合併症の発生率も同様に有意に増加(RR = 1.8, 95% CI 1.1-2.8; P = 0.009)を認めました。急性心筋梗塞による入院は、イタリアにおいてCOVID-19パンデミック期において減少しており、死亡率、合併症の発生率は上昇を認めました。社会的に重要な課題であり、科学、ヘルスケアコミュニティ、公的規制機関等は注意が必要であると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32412631
パンデミック期のイタリアの急性心筋梗塞診療の報告です。急性心筋梗塞による入院は去年と比較して半数に減少したとのことですが、これは急性心筋梗塞が今年半分に減ったということでしょうか。これは、急性心筋梗塞の発生率が去年と今年で急に半分になった訳ではなく、急性心筋梗塞でも病院に来ない例が増えたということです。ニューヨークでも同様のことが起こっているようです。病気は新型コロナだけではなりません。日本では今のところ危機的状況には至っていないですが、助かるはずの疾患が助からないということがないようにしなくてはいけません。


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