2020/6/5、全世界のコレステロール値の変化を調べた大規模疫学研究「Repositioning of the Global Epicentre of Non-Optimal Cholesterol」が発表されました。

2020/6/5、全世界のコレステロール値の変化を調べた大規模疫学研究「Repositioning of the Global Epicentre of Non-Optimal Cholesterol」が発表されました。血中コレステロール高値は従来は裕福な西洋諸国の特徴であると考えられていましたが、血中コレステロールの食事、行動の決定因子は国や地域によって急速に変化しており、脂質低下薬の使用も国によってばらつきがあります。このような変化によって、LDLコレステロール、HDLコレステロールへの影響を受けています。全世界でLDLコレステロール、HDLコレステロールの変化を追跡しました。1980年から2018年まで、200カ国、1127の住民調査、18歳以上の1億260万人のデータ、non-HDLコレステロール、HDLコレステロールを収集しました。全体としては、1980年から2018年、non-HDLコレステロールの値の変化はわずかでした。これは東アジア、東南アジア等の低所得、中所得国における増加、西北ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ等の高所得国における増加の合計の結果でした。1980年、心血管死亡リスク変化指標としてのnon-HDLコレステロール値の高値は、ベルギー、フィンランド、グリーンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、マルタ等の西洋ヨーロッパ、アジア太平洋地域では、トケラウ、マレーシア、フィリピン、タイで認められました。2017年、non-HDLコレステロール高値は、推定3.9百万人(3.7 million-4.2 million)の全世界の死亡を反映しており、その半数は東アジア、東南アジアが占めています。脂質関連リスク、悪玉コレステロールの変化は、北西ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア等の高所得国、東アジア、東南アジア、オセアニア等では住民ベースの政策、栄養への個別介入、治療アクセスの改善等が求められますと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32494083
コレステロール値は、栄養状態の指標、心血管疾患の危険因子、スタチン等の脂質低下治療の医療アクセスの指標等の側面を持ちます。低所得国では低栄養、貧困を反映しており、高所得国においては暴飲暴食、運動不足等の生活習慣病としての脂質異常症が課題となっています。超高齢者においても低栄養、フレイルの指標でもあります。詳しくはメディカルトリビューンの記事をご覧ください。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0624530632/


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