2020/5/26、Xa阻害薬関連頭蓋内出血に関するプロトロンビン複合体濃縮製剤の効果を調べた多施設観察コホート研究「Factor Xa Inhibitor-Related Intracranial Hemorrhage Results From a Multicenter, Observational Cohort Receiving Prothrombin Complex Concentrates」の結果をまとめました。

2020/5/26、Xa阻害薬関連頭蓋内出血に関するプロトロンビン複合体濃縮製剤の効果を調べた多施設観察コホート研究「Factor Xa Inhibitor-Related Intracranial Hemorrhage Results From a Multicenter, Observational Cohort Receiving Prothrombin Complex Concentrates」の結果をまとめました。経口Xa阻害薬の登場後、頭蓋内出血後の抗凝固作用の中和することが出来るかが課題でした。多くのガイドラインではプロトロンビン複合体濃縮製剤(prothrombin complex concentrates: PCCs)の使用を示唆していますが、頭蓋内出血における効果は限定された症例数における研究に基づいたものでした。Xa阻害薬関連頭蓋内出血においてプロトロンビン複合体濃縮製剤の安全性、有効性を評価するために、大規模多施設コホート研究を実施しました。2015年から2019年まで、アピキサバンまたはリバーロキサバン関連の頭蓋内出血でプロトロンビン複合体濃縮製剤の投与を受けた例の多施設後ろ向き観察コホート研究です。安全性と止血の有効性について一次解析を行いました。安全性解析では退院後またはプロトロンビン複合体濃縮製剤投与後30日間の血栓性事象を組み込み基準を満たすものを対象としました。脳内出血、くも膜下出血、硬膜下出血で、入院後24時間以内にプロトロンビン複合体濃縮製剤の投与を受け、少なくとも1回以上追跡の画像検査を行っている例を対象に止血の有効性を評価しました。有効性の主要転帰は「modified Sarode criteria」に基づいた「良好または優れた止血」(excellent or good hemostasis)の割合としました。副次転帰は、院内死亡率、滞在日数、注射関連反応、血栓性事象の発生としました。633例を対象に安全性転帰を評価しました。433例が止血の有効性の基準を満たしました。優れたまたは良好な止血は354例(81.8%)でした。25例(3.8%)、合計26回の血栓性事象が発生、そのうち22例はプロトロンビン複合体濃縮製剤投与から14日間以内に発生していました。1例で注射関連反応が報告されました。コホート参加者全体として院内死亡率は19.0%、集中治療室滞在日数の中央値2.0日間、在院日数の中央値は6.0日間でした。アピキサバンまたはリバーロキサバン関連頭蓋内出血後にプロトロンビン複合体濃縮製剤を投与することは、3.8%血栓症の発生率の一方で、81.8%の優れたまたは良好な止血効果を認めました。Xa阻害薬関連頭蓋内出血に対するプロトロンビン複合体濃縮製剤の臨床的有効性の評価のためには無作為化対照試験が必要です。詳しくは論文をご覧ください。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32264698
経口抗凝固薬には現在、プラザキサ(ダビガトラン)、イグザレルト(リバーロキサバン)、エリキュース(アピキサバン)、リクシアナ(エドキサバン)、そしてワーファリン(ワルファリン)があります。この中で、プラザキサ(ダビガトラン)のみ直接的中和薬があり、他の経口抗凝固薬は直接的中和薬がないことが課題でした。今回、直接的中和薬ではありませんが、エリキュース(アピキサバン)、イグザレルト(リバーロキサバン)による出血に対してプロトロンビン複合体濃縮製剤の投与によって良好な止血効果が得られることがわかりました。
現在、日本で手に入るプロトロンビン複合体濃縮製剤は、ケイセントラ(プロトロンビン複合体濃縮製剤)がありますが、2020/7/4現在、適応は「ビタミンK拮抗薬服用中における出血傾向」となっています。
また、Xa阻害薬の直接的中和薬としては「andexanet alfa」が開発中であり、現在、臨床治験中です。最新の情報がわかり次第またお知らせします。


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