2020/6/2、症候性の非閉塞性肥大型心筋症に対する「Mavacamten」の効果について調べた研究「Evaluation of Mavacamten in Symptomatic Patients With Nonobstructive Hypertrophic Cardiomyopathy」の結果をまとめました。非閉塞性肥大型心筋症(nonobstructive hypertrophic cardiomyopathy: nHCM)はしばしば経験しますが、効果が立証された薬物療法はありません。心筋の収縮メカニズムの修飾によるミオシン阻害薬は肥大型心筋症の病理学的修飾、症状を改善する可能性があります。「MAVERICK-HCM」(Mavacamten in Adults With Symptomatic Non-Obstructive Hypertrophic Cardiomyopathy)試験にて、非閉塞性肥大型心筋症における心筋特異的ミオシンの可逆的阻害薬「mavacamten」の有効性と安全性を検討しました。「MAVERICK-HCM」試験は、NYHA IIからIIの心不全、左室駆出率55%以上、NT-proBNP 300pg/ml以上症候性の非閉塞性肥大型心筋症を対象とした多施設二重盲検プラセボ対照投与量決定第2相試験です。mavacamten群、プラセボ群、薬物動態学調整投与量として、目標血清値200ng/ml群、500ng/ml群に無作為に割り振り、16週間追跡、8週間のウォッシュアウト期間としました。初期投与量は5mgとし、6週間ごとに滴定しました。57例、mavacamten 200ng/ml群19例、mavacamten 500ng/ml群21例、プラセボ群19例、平均年齢54歳、女性58%でした。重大有害事象はmavacamten群10%、プラセボ群21%に発生しました。mavacamten群のうち5例は、可逆性のLVEF 45%未満への低下を認めました。NT-proBNPはmavacamten群で平均53%低下、プラセボ群で1%低下、平均差は-435 pg/ml、-6 pg/mlで、有意差(p = 0.0005)を認めました。心筋トロポニンIはmavacamten群で34%低下、プラセボ群で4%上昇、平均差は-0.008 ng/ml、0.001 ng/mlで、有意差(p = 0.009)を認めました。新規のミオシン阻害薬、mavacamtenは、症候性非閉塞性肥大型心筋症のほとんどの項目において容認性を認めました。さらに、NT-proBNP、心筋トロポニンIの有意な減少を認め、これは心筋壁ストレスの改善を示唆しています。mavacamtenの次のステップの治験では、臨床パラメータ、LVEF、容量も含めた治験が期待されます。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32466879
症候性非閉塞性肥大型心筋症に対する直接ミオシン阻害薬mavacamtenの第2相試験の結果です。現在、肥大型心筋症に対して根治薬はありません。期待されている新薬の一つです。第3相試験の結果がわかり次第お知らせします。
2020/6/2、症候性の非閉塞性肥大型心筋症に対する「Mavacamten」の効果について調べた研究「Evaluation of Mavacamten in Symptomatic Patients With Nonobstructive Hypertrophic Cardiomyopathy」の結果をまとめました。