2020/7/1、高コレステロール血症においてアテローム形成性脂質値とベムペド酸投与の関係について調べた研究「Association of Bempedoic Acid Administration With Atherogenic Lipid Levels in Phase 3 Randomized Clinical Trials of Patients With Hypercholesterolemia」の結果をまとめました。

2020/7/1、高コレステロール血症においてアテローム形成性脂質値とベムペド酸投与の関係について調べた研究「Association of Bempedoic Acid Administration With Atherogenic Lipid Levels in Phase 3 Randomized Clinical Trials of Patients With Hypercholesterolemia」の結果をまとめました。スタチン使用だけではLDLコレステロールの十分な低下に到達しない例やスタチン不耐の例において、追加の脂質低下療法の選択肢が必要とされています。ベムペド酸の第III相無作為化プラセボ対照臨床試験の蓄積解析を実施しました。蓄積データ解析は、2016年から2018年に実施された4つの二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験を収集しました。北アメリカ、ヨーロッパから参加しました。組み込み基準は、高コレステロール血症で、脂質低下療法を受けており、心血管リスクが高い例または、高コレステロール血症でスタチン不耐の例を対象に、ベムペド酸180mg群2425例、プラセボ群1198例に無作為化に割り付け、12週間から52週間追跡しました。有効性の主要転帰は開始時からの12週間後時点における処置意図集団のLDLコレステロール値の変化としました。組み込み基準に従い、2群に割り付けました。1つ目は、高コレステロール血症で、動脈硬化性心血管疾患がある、またはヘテロ型家族性高コレステロール血症(heterozygous familial hypercholesterolemia: HeFH)で、スタチン治療を受けている例、2つは、高コレステロール血症で、最大耐量のスタチン投与を受けてもスタチン不耐の例としました。結果、3623例の解析、平均年齢65.5歳、両蓄積とも同様でした。動脈硬化性心血管疾患、ヘテロ型家族性高コレステロール血症のいずれかまたは両方を持っている群において、登録時のLDLコレステロール値は平均107.6mg/dLでした。12週間後時点において、LDLコレステロール値の登録時からの変化率は、ベムペド酸群で-16.0%、プラセボ群+1.8%で、有意差(差-17.8%; 95% CI, -19.5% to -16.0%; P <0.001)を認めました。スタチン不耐の群において、登録時のLDLコレステロール値は平均144.4mg/dLでした。12週間後時点において、LDLコレステロール値の登録時からの変化率は、ベムペド酸-23.0%、プラセボ群+1.5%で、有意差(差-24.5%; 95% CI, -27.8% to -21.1%; P <0.001)を認めました。ベムペド酸によるLDLコレステロール値の低下は、動脈硬化性心血管疾患、ヘテロ型家族性高コレステロール血症のいずれかまたは両方を持っており、最大耐用量のスタチン治療を受けている群において、52週間後時点において-12.7%の差、スタチン不耐の群において、24週間後時点において、-22.2%の差で、両蓄積にて長期追跡においても維持されました。non-HDLコレステロール、総コレステロール、アポリポタンパク質B、高感度CRP値の低下は、ベムペド酸群においてプラセボ群と比べて大きい傾向にありました。治療関連有害事象は、ベムペド酸群においてプラセボ群と比べて高頻度で、血中尿酸値上昇(2.1% vs 0.5%)、痛風(1.4% vs 0.4%)、糸球体濾過量低下(0.7% vs <0.1%)、肝酵素値上昇(2.8% vs 1.3%)でした。高コレステロール血症において、最大耐用量のスタチン治療にベムペド酸を上乗せすることは、中等量、高用量、スタチン治療なしに関わらず、プラセボと比べてLDLコレステロール値低下と関連しており、安全性プロファイルも容認可能でした。スタチン不耐、スタチンの代替として、ベムペド酸は広範囲に使用出来る可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32609313
高コレステロール血症に対するベムペド酸の臨床効果です。安全性にも大きな問題はないとの報告で、新薬として登場されることが確実となって来ました。メディカルトリビューンにも記事になっています。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0715530966
第III相試験の結果は以前にまとめています。詳しくは下記をご覧ください。
「2019/11/12(火)、心血管疾患ハイリスク群のLDLコレステロールに対して最大耐量のスタチンに加えてベンペド酸の上乗せ効果について検討した研究「Effect of Bempedoic Acid vs Placebo Added to Maximally Tolerated Statins on Low-Density Lipoprotein Cholesterol in Patients at High Risk for Cardiovascular Disease: The CLEAR Wisdom Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/13476


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