2020/7/9、COVID-19と急性虚血性脳卒中の特徴と転帰について調べた研究「Characteristics and Outcomes in Patients With COVID-19 and Acute Ischemic Stroke The Global COVID-19 Stroke Registry」の結果をまとめました。最近の小規模な症例シリーズでは、COVID-19と重症大血管急性虚血性脳卒中の関連が病理学的に指摘されています。重症脳卒中は典型的には予後不良と関連しており、再開通技術によって高い治療の有効性の可能性があるため、脳卒中臨床家への警告、病院前、病院内の急性脳卒中パスの情報を提供するために、推定の関連を大規模コホートで、確認することは急務です。16カ国、28施設、COVID-19検査確定例と急性虚血性脳卒中の連続症例を蓄積しました。急性虚血性脳卒中において、COVID-19の時期と、COVID-19ではない時期とで違いはあるか、脳卒中の重症度と、退院または少なくとも入院中までの評価等の転帰との関係を評価するために、COVID-19の時期と、2003年から2019年までに、フランス、ローザンヌレジストリの急性脳卒中レジストリ解析「Acute Stroke Registry and Analysis of Lausanne Registry」からCOVID-19ではない時期と、傾向スコアマッチング解析を実施しました。2020/1/27から2020/3/19までの間に、COVID-19かつ急性虚血性脳卒中で入院例174例、平均年齢71.2歳、女性37.9%、1施設あたり平均12例が報告されました。NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)の平均スコアは10(四分位範囲4-18)でした。COVID-19の時期336例、COVID-19ではない時期336例、マッチングを行った結果、NIHSSの平均スコアはCOVID-19時期において有意に高値(10 [IQR, 4–18] versus 6 [IQR, 3–14]), P=0.03; (odds ratio, 1.69 [95% CI, 1.08–2.65] for higher National Institute of Health Stroke Scale score)でした。48例(27.6%)死亡、そのうち22例はCOVID-19、26例は脳卒中が原因でした。生存例で障害状況について入手可能な96例において、49例(51%)は退院時に重症な障害がありました。傾向スコアマッチング集団330例において、COVID-19の時期の急性虚血性脳卒中は、COVID-19ではない時期と比べて、重症障害(median mRS 4 [IQR, 2–6] versus 2 [IQR, 1–4], P<0.001)、死亡(odds ratio, 4.3 [95% CI, 2.22–8.30])が増加していました。この所見から、COVID-19関連虚血性脳卒中は、COVID-19とは関連のない虚血性脳卒中と比べて、重症の頻度が高く、機能転帰が不良で、高い死亡率と関連している可能性を示唆しています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.120.031208
COVID-19の時期の脳梗塞は、死亡率4.3倍であったとのフランスからの報告です。COVID-19自体が直接的に重症化と関連しているのか、医療提供体制、受診時期、積極的治療介入の適応、予防療法の継続率等、間接的な影響なのか、メカニズムの解明が求められます。メディカルトリビューンでも記事になっています。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0717531006
2020/7/9、COVID-19と急性虚血性脳卒中の特徴と転帰について調べた研究「Characteristics and Outcomes in Patients With COVID-19 and Acute Ischemic Stroke The Global COVID-19 Stroke Registry」の結果をまとめました。