2020/7/10、入院時の空腹時血糖とCOVID-19の死亡率の予測因子との関係について調べた研究「Fasting blood glucose at admission is an independent predictor for 28-day mortality in patients with COVID-19 without previous diagnosis of diabetes: a multi-centre retrospective study」の結果をまとめました。

2020/7/10、入院時の空腹時血糖とCOVID-19の死亡率の予測因子との関係について調べた研究「Fasting blood glucose at admission is an independent predictor for 28-day mortality in patients with COVID-19 without previous diagnosis of diabetes: a multi-centre retrospective study」の結果をまとめました。高血糖は、市中肺炎、脳卒中、急性心筋梗塞、外傷、手術、他の状況においても、死亡リスク上昇と関連していることが知られています。今回、過去に糖尿病と診断されたことのない例において、COVID-19の28日間以内の死亡率、空腹時血糖との関連を調べるために、中国、武漢の2つの病院において、2020/1/24から2020/2/10まで、入院時の空腹時血糖と、確定COVID-19例の28日転帰の連続症例を対象とした後ろ向き研究を実施しました。人口、臨床データ、28日転帰、入院中合併症、CRB-65スコアを解析しました。CRB-65は肺炎の重症度を評価する有用な手段で、意識混濁、呼吸数、収縮期血圧・拡張期血圧、年齢の4つの項目からなります。結果、605例を登録、114例は入院中に死亡しました。多変量Cox回帰解析の結果、年齢(HR 1.02 [95% CI 1.00, 1.04])、男性(HR 1.75 [95% CI 1.17, 2.60])、CRB-65スコア1-2点(HR 2.68 [95% CI 1.56, 4.59])、CRB-65スコア3-4点(HR 5.25 [95% CI 2.05, 13.43])、空腹時血糖7.0mmol/l以上(HR 2.30 [95% CI 1.49, 3.55])は、28日以内の死亡の独立した予測因子でした。28日以内の入院中合併症のオッズ比は、空腹時血糖7.0mmol/l以上の群、空腹時血糖6.1-6.9mmol/lの群は、空腹時血糖6.1mmol/l未満の群と比べて、それぞれ3.99(95% CI 2.71, 5.88)、2.61(95% CI 1.64, 4.41)でした。COVID-19において入院時の空腹時血糖7.0mmol/l以上は、過去に糖尿病と診断されたことのない例において、28日以内の死亡率の独立した予測因子でした。血糖測定、血糖管理は、COVID-19において糖代謝異常に陥りやすい可能性があるかも知れないため、過去に糖尿病がない例においても重要ですと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32647915
糖尿病は肺炎の重症化因子であることは知られていますが、糖尿病と診断されていない例においても、入院時の高血糖は危険因子であったという報告です。血糖値、1mmol/l=18mg/dlなので、血糖値108mg/dl以上で死亡率2.61倍、126mg/dl以上で死亡率3.99倍だったという結果です。糖尿病の場合は勿論、糖尿病ではない場合においても血糖コントロールが大切です。


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