2020/7/15、149カ国のCOVID-19と物理的距離の介入の関係を調べた研究「Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries」の要旨をまとめました。

2020/7/15、149カ国のCOVID-19と物理的距離の介入の関係を調べた研究「Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries」の要旨をまとめました。物理的距離の介入とCOVID-19の関係を全世界で調べるために、割り込み時間蓄積解析、メタ解析にて結果同期を実施しました。149の国または地域において、ヨーロッパ疾病予防管理センター「European Centre for Disease Prevention and Control」からの日次報告データ、「Oxford covid-19 Government Response Tracker」による物理的距離政策のデータを収集しました。2020/1/1から2020/3/30まで、各国の5つの物理的距離介入、学校、職場、公共交通機関の閉鎖、集会や公共イベントの制限、移動制限、いわゆるロックダウン(lockdown)について調べました。物理的距離介入の実施の前後におけるCOVID-19の発生率比(Incidence rate ratios: IRRs)を、2020/3/30時点における介入後30日間、または最初の発生が起きてからデータを用いて推算しました。発生率比は無作為影響メタ解析を用いて各国ごとに算出しました。結果、平均として、物理的距離の介入は全体としてCOVID-19の発生の13%の減少と関連(IRR 0.87, 95% confidence interval 0.85 to 0.89; n=149 countries)を認めました。公共交通機関の閉鎖は、他の4つの物理的距離介入が実施されている場合に、COVID-19発生の低下とは関連(pooled IRR with and without public transport closure was 0.85, 0.82 to 0.88; n=72, and 0.87, 0.84 to 0.91; n=32, respectively)がありませんでした。11カ国からのデータにおいても、学校の閉鎖、職場の閉鎖、集会の制限による全体の有効性は同様(pooled IRR 0.85, 0.81 to 0.89)でした。介入の順番としては、ロックダウンの早期実施(pooled IRR 0.86, 0.84 to 0.89; n=105)は、他の物理的距離介入を実施した後にロックダウンを遅れて実施した場合(pooled IRR 0.90, 0.87 to 0.94; n=41)と比べて、COVID-19発生の大規模な減少を認めました。物理的距離介入は全世界でCOVID-19発生の減少と関連していました。公共交通機関の閉鎖は、他の4つの政策が実施されている場合には、追加の効果があるエビデンスを認めませんでした。ロックダウンの早期実施はCOVID-19発生の大規模な減少と関連していました。これらの結果から、現在または将来の流行波に備えてることは政策決定者にとって有用であろうと論文ではまとめられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32669358
物理的距離の有効性について、国単位で調べた研究です。学校閉鎖、職場閉鎖、公共交通機関閉鎖、集会制限、ロックダウン、いずれも有効で、最も有効なのはロックダウンで、他の政策が実施されている場合には公共交通機関閉鎖のみでは有効性は認められなかったという結果です。結果的に、日本は第1波の時の取り組みは大きく間違っていたなかったということになります。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202008/566563.html


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