2020/7/27-8/2、オンライン開催された「第84回日本循環器学会学術集会」にて、左室駆出率の保たれた心不全を合併した心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の有効性が発表されました。

2020/7/27-8/2、オンライン開催された「第84回日本循環器学会学術集会」にて、左室駆出率の保たれた心不全を合併した心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の有効性が発表されました。心房細動合併のある左室駆出率の保たれた心不全に対し、心房細動カテーテルアブレーション治療の効果を検討しました。左室駆出率の保たれた心不全を合併する心房細動224例、平均年齢69.4歳、アブレーション群123例、薬物治療群101例、後ろ向き研究を実施しました。結果、12カ月後の左室駆出率はアブレーション群67.7%から71.1%へ有意に改善(P<0.0001)、薬物治療群では有意に低下(P=0.0032)、左房経はアブレーション群で45.3mmから41.8mmへ有意に縮小(P<0.0001)、薬物療法群では有意に拡大(P<0.0001)、BNP値はアブレーション群で236.5pg/mLから111.4pg/mLへ有意に低下(P<0.0001)、薬物治療群では差を改善を認めませんでした。平均1879日間の追跡、全死亡はアブレーション群2.7%、薬物治療群27.7%で、有意差(P<0.0001)を認めました。心血管死亡はアブレーション群2.7%、薬物治療群16.8%で、有意差(P=0.0011)あり、心不全入院率はアブレーション群10.6%、薬物治療群20.8%で有意差(P=0.0423)を認めました。詳しくは日経メディカルの記事をご覧ください。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t339/202008/566632.html
左室駆出率の保たれた心不全において心房細動を合併する場合は、心房細動に対してカテーテルアブレーション治療を行うことで、死亡率、心血管死、心不全入院、左室駆出率、左房経、BNP値、全てにおいて有意に改善することがわかりました。アブレーション治療後にBNP値、左房経が改善する例はしばしば経験しますが、死亡率が10.26倍(2.7% vs 27.7)も差が出ることは驚きです。左室駆出率が低下していなくても、カテーテルアブレーションを行う価値はありそうです。


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