2020/8/6、皮下植込み型除細動器と従来の経静脈植込み型除細動器を比較した研究「Subcutaneous or Transvenous Defibrillator Therapy: PRAETORIAN」の要旨をまとめました。

2020/8/6、皮下植込み型除細動器と従来の経静脈植込み型除細動器を比較した研究「Subcutaneous or Transvenous Defibrillator Therapy: PRAETORIAN」の要旨をまとめました。皮下植込み型除細動器(subcutaneous implantable cardioverter–defibrillator: S-ICD)は、経静脈植込み型除細動器(transvenous ICD)のリード関連合併症を防ぐために開発、完全に胸腔外に留置します。比較のエビデンスは観察研究に基づいています。今回、除細動器の適応で、ペーシングの適応ではないと例を対象に、皮下埋込み型除細動器と経静脈埋込み型除細動器の非劣性試験を実施しました。主要転帰はデバイス関連合併症、不適切ショックの複合とし、非劣性マージンは皮下埋込み型除細動器vs経静脈埋込み型除細動器のハザード比の95%信頼区間の上限1.45としました。優越性解析は非劣勢が確立した場合に実施としました。副次転帰は死亡、適切なショックを含みました。結果、849例、皮下埋込み型除細動器群426例、経静脈埋込み型除細動器群423例、中央値49.1ヶ月間追跡、主要転帰事象は、皮下埋込み型除細動器群68例、経静脈埋込み型除細動器群68例で、非劣勢(48-month Kaplan–Meier estimated cumulative incidence, 15.1% and 15.7%, respectively; hazard ratio, 0.99; 95% confidence interval [CI], 0.71 to 1.39; P=0.01 for noninferiority; P=0.95 for superiority)を認めました。デバイス関連合併症は、皮下埋込み型除細動器群31例、経静脈埋込み型除細動器群44例(hazard ratio, 0.69; 95% CI, 0.44 to 1.09)、不適切なショックは皮下埋込み型除細動器群41例、経静脈埋込み型除細動器群29例(hazard ratio, 1.43; 95% CI, 0.89 to 2.30)でした。死亡は皮下埋込み型除細動器群83例、経静脈埋込み型除細動器群68例(hazard ratio, 1.23; 95% CI, 0.89 to 1.70)、適切なショックは皮下埋込み型除細動器群83例、経静脈埋込み型除細動器群57例(hazard ratio, 1.52; 95% CI, 1.08 to 2.12)でした。埋込み型除細動器の適応があり、ペーシングの適応がない例において、皮下埋込み型除細動器は経静脈埋込み型除細動器と比べて、デバイス関連合併症、不適切なショックにおいて非劣勢を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915932
ボストン・サイエンティフィック社の皮下埋込み型除細動器「EMBLEM」システムの研究「PRAETORIAN」試験の結果です。ペーシングを必要としないで、かつ心室細動、心室頻拍等の致死的不整脈を認める場合に、適応を考慮します。除細動の機能は従来の経静脈埋込み型除細動器と同等とのことで、血管内にリードを留置しないため、リード関連合併症が起こらないことがメリットです。詳しくはボストン・サイエンティフィック社のページをご覧ください。
http://www.sicd.jp
以前のデバイスはMRI非対応でしたが、MRI対応の機種が出て、電池寿命も改良されました。技術の進歩はすごいですね。
https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/icd/EMBLEM.html


PAGETOP