2020/8/13、接触状況と感染リスクについて、COVID-19の濃厚接触3410例を解析した中国の研究「Contact Settings and Risk for Transmission in 3410 Close Contacts of Patients With COVID-19 in Guangzhou, China: A Prospective Cohort Study」の要旨をまとめました。SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)の感染者との濃厚接触による感染リスクについては十分にわかっていませんでした。SARS-CoV-2の様々な状況における濃厚接触の感染リスクを評価するために、前向きコホート研究を実施しました。中国、広州にて、2020/1/13から2020/3/6まで、SARS-CoV-2感染者391例との濃厚接触者3410例を対象に、二次症例の暴露の状況、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応検査、臨床的特徴のデータを収集しました。COVID-19症例は中国のガイドラインに基づいて確定しました。様々な状況における二次感染の発生率(attack rates)を算出しました。結果、3410例の濃厚接触のうち、127例(3.7% 95% CI, 3.1% to 4.4%)が二次感染を起こしました。127例のうち、8例(6.3% [CI, 2.1% to 10.5%])は無症状でした。症状がある119例のうち、20例(16.8%)は軽症、87例(73.1%)は中等症、12例(10.1%)は重症または危篤でした。家庭内感染(10.3%)と比べて、医療機関内感染(1.0%; odds ratio [OR], 0.09 [CI, 0.04 to 0.20])、公共交通機関(0.1%; OR, 0.01 [CI, 0.00 to 0.08])の二次感染率は低率でした。二次感染率は一次感染者の重症度によって上昇、無症状0.3%(CI, 0.0 to 1.0%)、軽症3.3%(CI, 1.8% to 4.8%)、中等症5.6%(CI, 4.4% to 6.8%)、重症または危篤6.2%(CI, 3.2% to 9.1%)でした。喀痰(expectoration)は高い二次感染率(13.6% vs. 3.0% for index cases without expectoration; OR, 4.81 [CI, 3.35 to 6.93])と関連していました。症状発症からの想起バイアスの可能性、濃厚接触時の症状、重症度を評価していないこと限界はあります。家庭内感染はSARS-CoV-2の主要な感染状況で、濃厚接触による二次感染のリスクは一次感染者の重症度によって上昇することがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32790510
同じ濃厚接触であっても重症度によって二次感染のリスクは大きく異なり、二次感染率は、軽症3.3%、中等症5.6%、重症または危篤6.2%であるのに対し、無症状0.3%だったとの報告です。無症状、不顕性感染者からの二次感染率の低さを考えると、どこまで接触者の追跡をするべきかという今後の参考になりそうです。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0819531378
2020/8/13、接触状況と感染リスクについて、COVID-19の濃厚接触3410例を解析した中国の研究「Contact Settings and Risk for Transmission in 3410 Close Contacts of Patients With COVID-19 in Guangzhou, China: A Prospective Cohort Study」の要旨をまとめました。