2020/7/1、院外心停止に対するバイスタンダー心肺蘇生の地域介入の評価について系統レビュー、メタ解析「Assessment of Community Interventions for Bystander Cardiopulmonary Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest A Systematic Review and Meta-analysis」の要旨をまとめました。

2020/7/1、院外心停止に対するバイスタンダー心肺蘇生の地域介入の評価について系統レビュー、メタ解析「Assessment of Community Interventions for Bystander Cardiopulmonary Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest A Systematic Review and Meta-analysis」の要旨をまとめました。院外心停止(out-of-hospital cardiac arrests: OHCAs)の転帰は依然として不良のままです。その場に居合わせた人(bystander)による心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation: CPR)の地域介入と転帰との関係は十分にわかっていませんでした。バイスタンダー心肺蘇生についての地域介入と院外心停止の生存との関係について調べるために、2018年までのMEDLINE、Embase、Cochrane Library databasesの文献検索を行いました。主要検索用語は、心肺蘇生、非医療従事者、一次救命措置、教育、心停止、生存としました。研究選択は地域介入研究、院外心停止の生存の差を比較した対照研究としました。研究は院外の介入のみとし、院内心停止、救急帯による心肺蘇生、自動体外式除細動器の整備に関する研究は除外しました。蓄積オッズ比、95%信頼区間を無作為化影響モデルを用いて算出しました。「PRISMA」(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses)の報告ガイドラインに従いました。主要転帰は30日生存率、生存退院、バイスタンダー心肺蘇生の実施率としました。結果、全体で4480の記事が同定、15本の研究を解析に組み込みました。大きく2つの介入がありました。1つは地域介入のみ5研究、もう1つは地域介入と救急サービスの変更10研究でした。4研究は、心肺蘇生のスキルトレーニングに加えて、院外心停止の発生した場所をバイスタンダーにアラート通知するシステムでした。9研究、21266例の院外心停止のメタ解析の結果、地域介入は生存退院または30日生存率の向上(OR, 1.34; 95% CI, 1.14-1.57; I2 = 33%)、バイスタンダー心肺蘇生の実施率(OR, 1.28; 95% CI, 1.06-1.54; I2 = 82%)と関連を認めました。地域介入のみと比べて、地域介入と救急サービス介入は、バイスタンダー心肺蘇生の実施率(community plus intervention: OR, 1.74; 95% CI, 1.26-2.40 vs community alone: OR, 1.06; 95% CI, 0.85-1.31)は有意差(P =0.01)を認めました。しかしながら、生存率は両群間で有意差(community plus health service intervention OR, 1.71; 95% CI, 1.09-2.68 vs community only OR, 1.26; 95% CI, 1.05-1.50 P = .21)には至りませんでした。この研究から、エビデンスは限定的ではあるものの、地域介入はバイスタンダー心肺蘇生の実施率を改善、院外心停止の生存の改善に関連する可能性があるでしょう。今回のような介入を広範囲に導入するためには、さらなる研究が求められますと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2767769
心肺蘇生の地域介入によって院外心停止に対してバイスタンダー心肺蘇生の実施率が向上し、生存率は有意差には至らなかったものの、生存率はオッズ比で1.71と1.26で向上している傾向にあります。位置情報のアラート通知システムは期待出来るのではないかと感じます。


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