2020/7/30、COVID-19流行と院外心停止についてイタリアの研究「Out-of-Hospital Cardiac Arrest during the Covid-19 Outbreak in Italy」の要旨をまとめました。COVID-19は急性呼吸不全、心臓合併症のリスクですが、COVID-19と院外心停止の関係は十分にわかっていません。イタリア、ロンバルディア州にて、中国以外でCOVID-19の流行が発生した初めての地域で、最初の症例はローディにて、2020/2/20に診断されました。ロンバルディア心停止レジストリ「Lombardia CARe」を用いて、ローディ、クレモナ、パヴィア、マントヴァにおいて発生した院外心停止を、2020/2/21から3/31までCOVID-19流行の最初の40日間と、2019年の同期間、2019/2/21から3/31までで比較しました。「National Department of Civil Protection」から報告された毎日のCOVID-19新規発症症例と、救急医療システムの電子データベースから院外心停止の発生数、COVID-19を疑う症状、院外心停止の前に3日間以上続く発熱、咳、呼吸困難を伴うもの、または心停止を起こす前、または死後、SARS-CoV-2咽頭拭い液検査の陽性結果を特定しました。2020年の研究期間において、研究対象の地域から、COVID-19症例全9806例が報告されました。同じ期間中、院外心停止362件、2019年の同時期229例と比べて58%増加を認めました。全ての4つの地域で、院外心停止の発生数は増加を認めました。性別、年齢は2019年度と2020年度で同様でしたが、2020年度においては、医療が原因による院外心停止の発生数は6.5%増加、自宅における院外心停止の発生数は7.3%増加、目撃されていない心停止の発生数は11.3%増加していました。救急医療サービスの到着時間の中央値は2019年と比べて2020年は3分間延長、偶然その場に居合わせた人による心肺蘇生を受けた例の割合は15.6%低値でした。救急医療サービスによる蘇生を受けた例において、院外心停止の発生数は2019年と比べて2020年は14.9%増加していました。2020年度の院外心停止の累積発生数はCOVID-19の累積発生数と強く関連(Spearmanの順位相関係数 0.87; 95%信頼区間 0.83 to 0.91; P<0.001)を認めました。院外心停止の件数は、2019年からCOVID-19の流行まで時間経過133件増加でした。院外心停止、全103例のうち、COVID-19疑い87例、COVID-19確定例16例でした。院外心停止の発生の増加のうちの77.4%は2020年度に観察されました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2010418
COVID-19期間中は院外心停止が58%増加していたというイタリアからの報告です。心停止増加の原因が気になります。感染症専門医の忽那先生がヤフーの記事でまとめています。詳しくは下記記事をご覧ください。
「コロナがコロナ以外の疾患に与える影響」
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200816-00191694
2020/7/30、COVID-19流行と院外心停止についてイタリアの研究「Out-of-Hospital Cardiac Arrest during the Covid-19 Outbreak in Italy」の要旨をまとめました。