2020/8/25、成人インフルエンザ入院例と急性心血管事象の関係について調べた研究「Acute Cardiovascular Events Associated With Influenza in Hospitalized Adults A Cross-sectional Study」の要旨をまとめました。インフルエンザは毎年の流行期間において急性心血管事象を引き起こしているかも知れません。急性心血管事象への影響を調べるために、検査確定のインフルエンザで成人入院例と、急性心不全、急性虚血性心疾患のリスク因子について横断研究を実施しました。アメリカにて、2010年から2018年までのインフルエンザ流行期において、「Influenza Hospitalization Surveillance Network」、成人入院、インフルエンザ検査にてインフルエンザ検査確定例を対象に、急性心血管事象、国際疾病分類「International Classification of Diseases: ICD」第9版臨床修正版または第10版の退院コードに従って診断しました。年齢、性別、人種、喫煙、慢性疾患、インフルエンザワクチン、抗インフルエンザ治療、インフルエンザの型や亜型を収集、ロジスティクス回帰モデルにて解析、調整リスク比、95%信頼区間を算出、急性心不全、急性虚血性心疾患のリスク因子を解析しました。結果、インフルエンザ検査確定例89999例、80261例は病歴、ICDコードが入手可能でした。中央年齢69歳、急性心血管事象11.7%認めました。頻度の高いものは、急性心不全6.2%、急性虚栄5.7%でした。年齢、喫煙、心血管疾患の既往、糖尿病、腎疾患は、インフルエンザ検査確定成人入院において、急性心不全、急性心血管疾患の高いリスクと有意な関係を認めました。研究の限界としては、検査オーダーによってインフルエンザ検査をしているため、未検出の可能性があります。急性心血管事象はICDの退院コードに基づいており、分類バイアスの可能性があります。インフルエンザ成人入院例の集団研究において、約12%は急性心血管事象を来していました。臨床家はインフルエンザ関連急性心血管事象を防ぐために、インフルエンザワクチンの接種を特に慢性疾患の既往がある群に対しては、強調すべきと論文をまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-1509
既存の季節性インフルエンザが急性心不全等の悪化因子であることは知られていますが、インフルエンザ関連の急性心不全、急性虚血性心疾患の発生が11.7%も認められたというアメリカの研究です。年齢中央値69歳、入院例を対象としているので、一般人口の心疾患合併率よりも高い可能性がありますが、新型コロナウイルスの心血管合併症が騒がれていますが、他のウイルス感染症も一般的に心血管合併症は起こるもので、新型コロナウイルス特有のものではないと言えます。
2020/8/25、成人インフルエンザ入院例と急性心血管事象の関係について調べた研究「Acute Cardiovascular Events Associated With Influenza in Hospitalized Adults A Cross-sectional Study」の要旨をまとめました。