2020/8/15、唾液を用いたSARS-CoV-2の無症状例に対する集団スクリーニングについて調べた日本の研究「Mass screening of asymptomatic persons for SARS-CoV-2 using saliva」の要旨をまとめました。


2020/8/15、唾液を用いたSARS-CoV-2の無症状例に対する集団スクリーニングについて調べた日本の研究「Mass screening of asymptomatic persons for SARS-CoV-2 using saliva」の要旨をまとめました。COVID-19は急速に世界規模で流行しており、無症状の感染者による感染が危惧されています。無症状のSARS-CoV-2を検出することは、集団流行を防ぐあめに優先順位が高いと考えられています。しかしながら、無症状例におけるPCR検査の精度については十分にわかっていませんでした。さらに、自己収集による唾液検査は集団スクリーニングとしてロジスティクス面で有意に有利ではありますが、代替手段としての有効性は検討中でした。無症状例に対する逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応検査のような拡散増幅の有効性を、咽頭拭い液と唾液とで比較する集団スクリーニング研究を実施しました。2つのコホート、接触者追跡コホート、空港検疫コホートを使用しました。結果、1924例、拡散増幅法の感度は、咽頭拭い液86%(90%CI:77-93%)、唾液92%(90%CI:83-97%)で、特異度はいずれも99.9%超でした。咽頭拭い液と唾液の一致率(true concordance probability)は、空港における有病率を0.3%とした場合、0.998(90%CI:0.996-0.999)と推測されました。陽性者において、咽頭拭い液と唾液のウイルス量は高い相関関係を認めらました。咽頭拭い液、唾液からの検体はいずれも高い感度、特異度を持っていました。自己収集による唾液検体による無症状例の集団スクリーニングは、SARS-CoV-2を検出する手段として有益(valuable)であると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.08.13.20174078v2
唾液検査の精度について、感度92%、特異度99.9%超という日本の研究です。感度は70%程度じゃないかという話が多かったような気がするのですが、思ったよりも悪くないようです。唾液検査のほうが飛沫感染のリスクが低いと考えられるので、スクリーニング検査には良いのではないでしょうか。


PAGETOP