2020/8/29、心房細動に対する早期リズムコントロール治療の有用性について調べた研究「Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation: EAST-AFNET 4」の要旨をまとめました。

2020/8/29、心房細動に対する早期リズムコントロール治療の有用性について調べた研究「Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation: EAST-AFNET 4」の要旨をまとめました。心房細動治療は進歩しているにも関わらず、心血管合併症のリスク上昇に関して、早期のリズムコントロール治療がリスクを減らすのかは十分にわかっていませんでした。1年以内の心房細動に対し、早期リズムコントロール治療群と従来治療群に無作為に割り振り、心血管転帰との関係を評価、国際医師主導型並行群オープン転帰評価盲検試験を実施しました。早期リズムコントロール群では、抗不整脈薬、心房細動アブレーションによる早期リズムコントロール治療を行いました。従来治療群では心房細動関連症状の管理のみに限定しました。有効性の主要評価項目は死亡、心血管死、脳卒中、心不全増悪入院、急性冠症候群の複合としました。副次評価項目は1年間のうちの入院滞在日数としました。安全性の主要評価項目は、死亡、脳卒中、リズムコントロール治療関連重大有害事象(serious adverse events related to rhythm-control therapy)の複合としました。副次評価項目は症状、左室機能としました。結果、135カ国、診断からの日数の中央値36日の早期の心房細動2789例を無作為化、第3次の暫定解析、中央値5.1年間の追跡の時点で有効性が明らかであるため試験中止になりました。主要評価項目事象は、リズムコントロール群249例(3.9 per 100 person-years)、従来治療群316例(5.0 per 100 person-years)、有意差(hazard ratio, 0.79; 96% confidence interval, 0.66 to 0.94; P=0.005)を認めました。入院滞在日数の平均値は両群間で有意差(5.8±21.9 and 5.1±15.5 days per year, respectively; P=0.23)を認めませんでした。安全性の主要評価項目事象の発生率は両群間で有意差はなく、リズムコントロール治療関連重大有害事象は、早期リズムコントロール群4.9%、従来治療群1.4%発生しました。2年後時点の症状、左室機能は両群間で有意差を認めませんでした。早期心房細動において、早期リズムコントロール治療は従来治療と比べて心血管転帰リスク低下と関連していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2019422
心房細動に対して早期のリズムコントロール治療の有効性のエビデンスが出ました。リズムコントロール治療とはカテーテルアブレーション等で心房細動を正常洞調律に戻す治療のことです。今までもおそらくカテーテルアブレーションは早いほうがいいだろうと経験的に説明していましたが、今回、早いほうが良いことが無作為化試験でも立証されました。


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