2020/8/31、慢性腎臓病の一次予防のための修正可能な生活習慣因子について調べた研究「Modifiable Lifestyle Factors for Primary Prevention of CKD: A Systematic Review and Meta-Analysis」の要旨をまとめました。

2020/8/31、慢性腎臓病の一次予防のための修正可能な生活習慣因子について調べた研究「Modifiable Lifestyle Factors for Primary Prevention of CKD: A Systematic Review and Meta-Analysis」の要旨をまとめました。慢性腎臓病の増加していますが、慢性腎臓病の一次予防のための推奨される生活習慣のエビデンスは十分ではありません。修正可能な生活習慣因子と慢性腎臓病の発生との関連のエビデンスの一貫性を評価するために、2019年までのMEDLINE、Embase、CINAHLのデータベースを検索しました。開始時には慢性腎臓病のない成人のコホート研究で、生活習慣(食事、身体活動、アルコール消費、喫煙)の情報があるものを組み込みました。主要評価項目は慢性腎臓病(eGFR 60未満)の発生としました。副次評価項目は他の慢性腎臓病のサロゲート指標(腎代替療法、GFR低下率、アルブミン尿)としました。結果、104研究、2755719例のデータ、バイアスリスクの低いものが特定されました。食事カリウム摂取が多いこと(odds ratio [OR], 0.78; 95% confidence interval [95% CI], 0.65 to 0.94)、野菜の摂取が多いこと(OR, 0.79; 95% CI, 0.70 to 0.90)はは慢性腎臓病のオッズ比を有意な低下と関連、塩分の摂取が多いことは慢性腎臓病のオッズ比の有意な上昇と関連(OR, 1.21; 95% CI, 1.06 to 1.38)を認めました。座りっぱなし(sedentary)と比べて、身体活動が多いことは慢性腎臓病のオッズ比の低値と関連(OR, 0.82; 95% CI, 0.69 to 0.98)していました。現在または過去の喫煙は、一度も喫煙をしたことのない人と比べて、慢性腎臓病のオッズ比を有意に上昇(OR, 1.18; 95% CI, 1.10 to 1.27)を認めました。アルコールを飲まない人と比べて、中程度のアルコール摂取は慢性腎臓病のリスク低下と関連(relative risk, 0.86; 95% CI, 0.79 to 0.93)を認めました。関連性は一貫していますが、エビデンスの正確性レベルは主に低から非常に低いレベルでした。副次評価項目の結果は主要評価項目の所見と一貫していました。生活において、慢性腎臓病の発生を一貫して予測する修正可能な生活習慣因子を特定することは、公衆衛生学的推奨、臨床実用の両面に情報提供となるだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32868398
慢性腎臓病の修正可能な危険因子について275万人のデータを解析した結果、野菜を多く食べること21%、塩分を控えること21%、運動すること18%、煙草を吸わないこと18%、お酒はほどほどにすること14%、と修正可能な生活習慣とその影響の程度が具体的に特定されました。慢性腎臓病だけでなく、高血圧、心血管疾患、脳血管疾患の予防のために推奨される生活習慣とほぼ同じですね。


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