2019/5/19、アメリカ心臓協会の「Life’s Simple 7」と心電図所見のない心筋梗塞、心血管死亡率との関係を調べた研究「Interrelationships Between American Heart Association’s Life’s Simple 7, ECG Silent Myocardial Infarction, and Cardiovascular Mortality」の要旨をまとめました。

2019/5/19、アメリカ心臓協会の「Life’s Simple 7」と心電図所見のない心筋梗塞、心血管死亡率との関係を調べた研究「Interrelationships Between American Heart Association’s Life’s Simple 7, ECG Silent Myocardial Infarction, and Cardiovascular Mortality」の要旨をまとめました。アメリカ心臓協会の「Life’s Simple 7」(LS7)基準によって評価された、心血管健康(cardiovascular health: CVH)と、無症候性心筋梗塞(silent myocardial infarction: SMI)、心血管疾患死亡との相互関係について調べるために、アメリカ、全国健康栄養調査「National Health and Nutrition Examination Survey」の第3次報告から、冠動脈心疾患を除外、6766例を対象に、心血管健康をLS7スコアに基づいて、0点から4点:不良(Poor)、5点から9点:中間(intermediate)、10点から14点を理想(ideal)と定義しました。無症候性心筋梗塞は臨床的に心筋梗塞の診断を認めないものの、心電図上心筋梗塞の所見を認めるものと定義しました。Cox比例ハザード解析にて、ベースラインの心血管健康と、追跡後の無症候性心筋梗塞の状態で層別化した心血管疾患死亡との関係を評価しました。多変量ロジスティクス回帰モデルの結果、理想の心血管健康は、不良の心血管健康と比べて、無症候性心筋梗塞のオッズ比69%低値と関連を認めました。中央値14年間の追跡期間中、心血管疾患死亡907例発生しました。無症候性心筋梗塞を認めない例において、中間の心血管健康(hazard ratio, 1.41; 95% CI, 1.14-1.74)、不良の心血管健康(hazard ratio, 2.77; 95% CI, 2.10-3.66)は、理想の心血管健康と比べて、心血管疾患死亡率リスクの上昇と関連を認めました。しかしながら、無症候性心筋梗塞を認める例においては、関連性の影響はほぼ二倍、中間の心血管健康(hazard ratio, 2.17 [95% CI, 1.42-3.32)、不良の心血管健康(hazard ratio, 6.28 [95% CI, 3.02-13.07)となりました。無症候性心筋梗塞は、中間の心血管健康、不良の心血管健康の群において、心血管疾患死亡リスクの上昇と有意な予測因子でしたが、理想の心血管健康の群においては有意なリスク上昇ではありませんでした。理想の心血管健康は無症候性心筋梗塞のリスク低値と関連しており、無症候性心筋梗塞の存在、不良の心血管健康は予後不良と関連していました。本所見は、将来の心血管疾患の転帰を予防するために、理想の心血管健康を維持するための役割の可能性を強調するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30859894
アメリカ心臓協会の「Life’s Simple 7」とは、アメリカ心臓協会(American Heart Association)が定めた、心臓疾患、血管疾患の予防のために望ましい生活習慣を7項目に整理したものです。具体的には、
・Manage Blood Pressure:血圧を正常に保つこと、塩分を摂り過ぎない
・Control Cholesterol:脂質を正常に保つこと、脂質を摂り過ぎない
・Reduce Blood Sugar:血糖を正常に保つこと、糖質を摂り過ぎない
・Get Active:日常的な身体活動、運動不足なら運動をする
・Eat Better:健康的な食事習慣、野菜、果物、魚を多く、塩分、脂質、炭水化物を少なくする
・Lose Weight:肥満なら減量する、適正体重を維持する
・Stop Smoking:禁煙、受動喫煙を避ける
以上、7項目です。以前にもまとめていました。
「アメリカ心臓病協会の「Life’s Simple 7」がシンプルでわかりやすいです。」
https://ochanomizunaika.com/10744
アメリカ心臓協会の「Life’s Simple 7」の7項目はどれも当たり前と言えば当たり前のことばかりですが、全て完璧に実行出来ているという方は少ないのではないでしょうか。この生活習慣を徹底出来ているかどうかで心臓病のリスクは実際に差があったという報告です。無症候性心筋梗塞というのは実際にはなかなか心電図のみでははっきりしないこともあります。リスクに応じて冠動脈CT、心臓MRI、冠動脈カテーテル検査で調べて行きます。詳しくは主治医にご相談ください。


PAGETOP