2020/9/28、経カテーテル的大動脈弁置換術後の弁膜症性心房細動、非弁膜症性心房細動について調べた研究「Valvular and Nonvalvular Atrial Fibrillation in Patients Undergoing Transcatheter Aortic Valve Replacement」の要旨をまとめました。

2020/9/28、経カテーテル的大動脈弁置換術後の弁膜症性心房細動、非弁膜症性心房細動について調べた研究「Valvular and Nonvalvular Atrial Fibrillation in Patients Undergoing Transcatheter Aortic Valve Replacement」の要旨をまとめました。経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve replacement: TAVR)後、弁膜症性心房細動、非弁膜症性心房細動の与える影響を調べました。心房細動は経カテーテル的大動脈弁置換術後の有害臨床転帰と関連しています。しかしながら、弁膜症性心房細動と非弁膜症性心房細動の影響の違いは十分に研究されていませんでした。前向き登録研究の後ろ向き解析にて、弁膜症性心房細動は僧帽弁狭窄症または僧帽弁置換術後の心房細動と定義しました。僧帽弁狭窄症の有無は術前の心エコーにて判断しました。主要評価項目は経カテーテル的大動脈弁置換術後1年間の心血管死亡、後遺症を残す脳卒中の複合としました。結果、2007年から2018年、経カテーテル的大動脈弁置換術1472例、心房細動は非弁膜症性心房細動465例(31.6%)、弁膜症性心房細動89例(6.0%)でした。心房細動スコアとして、HAS-BLED、CHADS2、CHA2DS2-VAScを、非弁膜症性心房細動、弁膜症性心房細動で比較しました。主要評価項目は、非心房細動9.3%、非弁膜症性心房細動14.5%(hazard ratio: 1.57; 95% confidence interval: 1.12 to 2.20; p = 0.009)、弁膜症性心房細動24.2%(hazard ratio: 2.75; 95% confidence interval: 1.71 to 4.41; p < 0.001)、有意差を認めました。弁膜症性心房細動は、非弁膜症性心房細動と比べて、心血管死亡、後遺症を残す脳卒中のリスク上昇(hazard ratio: 1.77; 95% confidence interval: 1.07 to 2.94; p = 0.027)と関連を認めました。経カテーテル的大動脈弁置換術後、弁膜症性心房細動は、非心房細動、非弁膜症性心房細動と比べて、心血管死亡、後遺症を残す脳卒中のリスク上昇と関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32972574
弁膜症性心房細動と非弁膜症性心房細動を比較した結果、弁膜症性心房細動のほうが予後が悪いという報告です。今回の研究は経カテーテル的大動脈弁置換術後の例に限った比較ですが、一般に、心房細動に対して、弁膜症性か非弁膜症性かを評価するために、心エコー検査等が必要があるのはこのためです。詳しくは主治医とご相談ください。


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