2020/6/22、冠動脈分岐部に対する経皮的冠動脈形成術後の臨床転帰について調べた研究「Clinical Outcomes Following Coronary Bifurcation PCI Techniques: A Systematic Review and Network Meta-Analysis Comprising 5,711 Patients」の要旨をまとめました。

2020/6/22、冠動脈分岐部に対する経皮的冠動脈形成術後の臨床転帰について調べた研究「Clinical Outcomes Following Coronary Bifurcation PCI Techniques: A Systematic Review and Network Meta-Analysis Comprising 5,711 Patients」の要旨をまとめました。異なる分岐部に対する経皮的冠動脈形成術技術の臨床転帰を比較しました。様々な無作為化試験があるにも関わらず、分岐部病変に対する至適な経皮的冠動脈形成術手技は依然として議論の分かれる課題です。暫定的ステント(provisional stenting)はほとんどの分岐部病変に対して標準的な手技として推奨されています。2ステント手技とっして、「DK-crush」(double-kissing crush)を支持するデータもあります。PubMed、Scopusにて、冠動脈分岐部病変に対する経皮的冠動脈形成術分岐部手技を比較した無作為化試験を収集しました。関心転帰は主要有害心血管事象としました。関心副次評価項目は、心臓死亡、心筋梗塞、標的血管病変血行再建、ステント血栓症としました。ベイズネットワークメタ解析を使用、オッズ比を算出しました。結果、21本の無作為化試験、5711例、5種類の分岐部経皮的冠動脈形成術手技を対象としました。手技は、暫定的ステント(provisional stenting)、Tステント(T stenting)またはT+突起(T and protrusion)、クラッシュ(crush)、キュロット(culotte)、DKクラッシュ(DK-crush)の5つです。中央値12ヶ月追跡しました。全手技を考慮した場合、DKクラッシュ手技を用いた治療は、暫定的ステントを用いた治療と比べて、主要有害心血管事象の発生は低値(OR: 0.39; 95% credible interval: 0.26 to 0.55)、主に標的病変血行再建の減少(OR: 0.36; 95% credible interval: 0.22 to 0.57)を認めました。経皮的冠動脈形成術手技解析において、心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症は差を認めませんでした。暫定的ステント、キャロット、TステントまたはT+突起、クラッシュにおいて、主要有害心血管事象の差を認めませんでした。非主幹部の分岐部において、DKクラッシュは主要有害心血管事象の減少(OR: 0.42; 95% credible interval: 0.24 to 0.66)を認めました。ネットワークメタ解析の結果、DKクラッシュは血行再建の再発率の減少、主要有害心血管事象の減少と関連を認めましたが、一方で、手技によって心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症に関しては有意差を認めませんでした。2ステント手技は、分岐部の分岐病変が10mm以上の場合の暫定的ステントにおいて臨床ベネフィットを認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32553331
DKクラッシュ法の手順が載っていました。まさに職人芸ですね。
https://earlycareervoice.professional.heart.org/tag/dk-crush


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