2020/9/25、ガイドカテーテルによる医原性冠動脈解離に対するステント留置後の臨床転帰、血管造影所見、ステント種類の違いについて調べた研究「Clinical Outcomes and Angiographic Results of Bailout Stenting for Guide Catheter-Induced Iatrogenic Coronary Artery Dissection – Impact of Stent Type」の要旨をまとめました。

2020/9/25、カテーテルによる医原性冠動脈解離に対するステント留置後の臨床転帰、血管造影所見、ステント種類の違いについて調べた研究「Clinical Outcomes and Angiographic Results of Bailout Stenting for Guide Catheter-Induced Iatrogenic Coronary Artery Dissection – Impact of Stent Type」の要旨をまとめました。ガイドカテーテルによる医原性の冠動脈解離は稀ですが重大な合併症です。発生した場合には救済的ステント留置は広く実施されていますが、予後、ステント種類の影響は十分にわかっていません。2000年から2015年、連続症例77257例、冠動脈血管造影55864例、経皮的冠動脈形成術21393例の集団研究を実施しました。冠動脈解離の発生率、臨床転帰、ステント留置後の血管造影所見、ベアメタルステントか薬剤溶出性ステントか、ステント種類の比較を実施しました。医原性の冠動脈解離105例、発生率0.14%でした。救済的手技によって発見された医原性の冠動脈解離の全例はステント留置によって管理、救済的手技によって死亡は発生しませんでした。5年間、心臓死、標的病変血行再建、主要有害心事象はそれぞれ11.3%、10.3%、21.0%でした。再狭窄率は10.4%で、ベアメタルステント、薬剤溶出性ステントで有意差を認めませんでした。手技前の狭窄病変は、薬剤溶出性ステントでベアメタルステントと比べて有意に低値でした。一方で、冠動脈解離8例は薬剤溶出性ステント留置後のみに観察されました。医原性の冠動脈解離に対してステント留置後、中長期的転帰は容認可能でした。しかしながら、薬剤溶出性ステントは狭窄病変には適しており、冠動脈解離は薬剤溶出性ステント留置後に再発していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32893259
冠動脈カテーテル関連の医原性冠動脈解離の発生率は0.14%と非常に低いことがわかりました。


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