2020/11/16、糖尿病、最近の心不全増悪に対する「sotagliflozin」の有効性、安全性を調べた研究「Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Recent Worsening Heart Failure: SOLOIST-WHF Trial 」の要旨をまとめました。

2020/11/16、糖尿病、最近の心不全増悪に対する「sotagliflozin」の有効性、安全性を調べた研究「Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Recent Worsening Heart Failure: SOLOIST-WHF Trial 」の要旨をまとめました。SGLT2(Sodium–glucose cotransporter 2)阻害薬は安定心不全に対して、心不全入院、心血管死亡リスクを減少します。しかしながら、非代償性心不全の既往後、すぐのSGLT2阻害薬開始の有効性、安全性は十分にわかっていません。2型糖尿病、最近の心不全増悪入院の既往あり例を対象に、sotagliflozin、プラセボ、多施設二重盲検試験を実施しました。主要評価項目は心血管死亡、心不全入院または救急外来受診の総回数としました。試験はスポンサーからの資金不足を理由に早期終了となりました。結果、1222例参加、sotagliflozin群608例、プラセボ群614例、中央値9.0ヶ月追跡しました。sotagliflozinまたはプラセボの初回投与は退院前48.8%、退院後2日間以内51.2%でした。主要評価項目事象600回発生、sotagliflozin群245回、プラセボ群355回、主要評価項目事象の100人年あたりの事象発生数は、sotagliflozin群はプラセボ群と比べて、有意に低下(51.0 vs. 76.3; hazard ratio, 0.67; 95% confidence interval [CI], 0.52 to 0.85; P<0.001)を認めました。心血管死の発生率はsotagliflozin群10.6、プラセボ群12.5(hazard ratio, 0.84; 95% CI, 0.58 to 1.22)、全死亡の発生率はsotagliflozin群13.5、プラセボ群16.3(hazard ratio, 0.82; 95% CI, 0.59 to 1.14)でした。sotagliflozin群でプラセボ群と比べて下痢(6.1% vs. 3.4%)、重症低血糖(1.5% vs. 0.3%)は高い頻度でした。sotagliflozin群、プラセボ群、低血圧(6.0% and 4.6%, respectively)、急性腎障害(4.1% and 4.4%, respectively)は同程度でした。sotagliflozinの有益性は初回投与のタイミングによって層別化においても一貫していました。糖尿病、最近の心不全増悪において、sotagliflozin投与は退院前または退院後すぐの開始、プラセボと比べて、心血管死亡、心不全入院または救急外来受診の総回数を有意に減少しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2030183
sotagliflozinはSGLT1と2の阻害薬です。「SOLOIST-WHF」試験では、血糖降下作用だけではなく、心不全入院も抑制することを示しました。Sanofi、Lexicon Pharmaceuticalsの資金提供による治験でしたが、COVID-19流行に伴う資金不足を理由に試験中止となりました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1127533691


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