2020/11/16、糖尿病、慢性腎臓病に対する「sotagliflozin」の有効性、安全性を調べた研究「Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Chronic Kidney Disease: SCORED」の要旨をまとめました。

2020/11/16、糖尿病、慢性腎臓病に対する「sotagliflozin」の有効性、安全性を調べた研究「Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Chronic Kidney Disease: SCORED」の要旨をまとめました。sotagliflozin、SGLT2阻害薬の有効性、安全性、糖尿病、慢性腎臓病、アルブミン尿ありまたはなし、心血管事象予防は十分にわかっていません。HbA1c 7%以上の2型糖尿病、推算糸球体濾過量25から60の慢性腎臓病で、心血管疾患リスクを複数持つ例を対象に、sotagliflozin、プラセボ、多施設二重盲検試験を実施しました。主要評価項目は試験期間中の心血管死、心不全入院、心不全救急外来受診の総回数の複合の変化としました。試験は資金不足を原因に早期終了しました。19188例スクリーニング、10584例参加、sotagliflozin群5292例、プラセボ群5292例、中央値16ヶ月追跡しました。主要評価項目事象の発生率は、100人年あたり、sotagliflozin群5.6、プラセボ群7.5、有意差(hazard ratio, 0.74; 95% confidence interval [CI], 0.63 to 0.88; P<0.001)を認めました。心血管死は100人年あたり、sotagliflozin群2.2、プラセボ群2.4、有意差(hazard ratio, 0.90; 95% CI, 0.73 to 1.12; P=0.35)は認めませんでした。心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の初回発生の複合評価項目のハザード比0.84(95% CI, 0.72 to 0.99)、心血管死、心不全入院の初回発生の複合評価項目のハザード比0.77(95% CI, 0.66 to 0.91)でした。下痢、性器感染症、脱水、糖尿病性ケトアシドーシスは、sotagliflozinはプラセボと比べて高い頻度でした。糖尿病、慢性腎臓病、アルブミン尿のありなしに関わらず、sotagliflozinはプラセボと比べて、有害事象はあるものの、心血管死、心不全入院、心不全救急外来受診のリスクを低下しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2030186
sotagliflozinはSGLT1と2の阻害薬です。「SCORED」試験では、血糖降下作用だけではなく、心血管死、心不全入院、救急外来受診を抑制することを示しました。Sanofi、Lexicon Pharmaceuticalsの資金提供による治験でしたが、COVID-19流行に伴う資金不足を理由に試験中止となりました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1127533691


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