2020/11/17、高齢、急性心不全における救急部治療バンドルの30日退院生存に与える効果を調べた研究「Effect of an Emergency Department Care Bundle on 30-Day Hospital Discharge and Survival Among Elderly Patients With Acute Heart Failure The ELISABETH Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/11/17、高齢、急性心不全における救急部治療バンドルの30日退院生存に与える効果を調べた研究「Effect of an Emergency Department Care Bundle on 30-Day Hospital Discharge and Survival Among Elderly Patients With Acute Heart Failure The ELISABETH Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。救急部にて急性心不全の早期管理の臨床ガイドラインは、中程度のエビデンスのみに基づいており、ガイドラインは低い遵守です。救急部、高齢、急性心不全の短期予後のための早期ガイドライン推奨治療バンドルの有効性を評価するために、2018年から2019年、フランス、救急部15施設、75歳以上、救急部にて急性心不全と診断、503例を対象に、ステップドワイドクラスター無作為化試験を実施、30日間追跡しました。介入群200例では、早期の経静脈ニトロ投与、急性冠症候群、感染、心房細動塔の想定因子の管理、中用量の経静脈利尿薬の投与等の治療バンドルを実施しました。対照群303例では、治療は救急医の判断によって管理しました。各施設は無作為化、介入期間をスイッチしました。全施設は最初4週間の対照期間後、1施設は2週間の介入期間に参加しました。主要評価項目は30日間の院内または院外の生存日数としました。副次評価項目は30日間の全死亡、30日間の心血管死亡、予定外の入院、在院日数、腎障害としました。503例、平均年齢87歳、女性298例(59%)、502例解析しました。介入群では、最初の4時間以内に中央値27.0mgの経静脈ニトロ投与を受けていましたが、対照群では4.0mgで、調整後差23.8(95% CI, 13.5-34.1)でした。想定因子の治療は介入群は対照群と比べて有意に高率(58.8% vs 31.9%; adjusted difference, 31.1% [95% CI, 14.3%-47.9%])でした。主要評価項目、30日間の生存日数に統計学的な有意差(median [interquartile range], 19 [0- 24] d in both groups; adjusted difference, −1.9 [95% CI, −6.6 to 2.8]; adjusted ratio, 0.88 [95% CI, 0.64-1.21])を認めませんでした。30日間の死亡率(8.0% vs 9.7%; adjusted difference, 4.1% [95% CI, −17.2% to 25.3%])、心血管死亡(5.0% vs 7.4%; adjusted difference, 2.1% [95% CI, −15.5% to 19.8%])、予定外入院(14.3% vs 15.7%; adjusted difference, −1.3% [95% CI, −26.3% to 23.7%])、在院日数の中央値(8 d in both groups; adjusted difference, 2.5 [95% CI, −0.9 to 5.8])、腎障害(1% in both groups)、介入群と対照群で有意差を認めませんでした。高齢、急性心不全において、救急部にてガイドラインベースの包括的治療バンドルを使用することは、従来治療と比べて、30日間の生存日数の統計学的な有意な改善を認めませんでした。高齢、急性心不全の効果的な治療を特定するためにはさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2772960
高齢、急性心不全の救急治療において、ガイドライン遵守の治療バンドルは生存率を改善するか?調べた研究です。12%生存率は改善している傾向ですが、有意差には至りませんでした。平均年齢87歳とのことで、有意な改善が難しい対象だったのか、対照群の臨床医の判断もそれなりに優秀であったのではないかとも考えられます。


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