2020/10/7、電子カルテにて循環器内科医にスタチン処方の消極的選択、積極的選択の介入の影響を調べた研究「Effect of Passive Choice and Active Choice Interventions in the Electronic Health Record to Cardiologists on Statin Prescribing A Cluster Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/10/7、電子カルテにて循環器内科医にスタチン処方の消極的選択、積極的選択の介入の影響を調べた研究「Effect of Passive Choice and Active Choice Interventions in the Electronic Health Record to Cardiologists on Statin Prescribing A Cluster Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。スタチン投与は有益性がある例に対して過小使用(underused)されている可能性があります。電子カルテ、ガイドライン指示のスタチン投与を促進するために、消極的選択と積極的選択の介入の有用性を調べるために、3群、6ヶ月間の介入前、6ヶ月間の介入、無作為化臨床試験を実施しました。ニュージャージー州、ペンシルベニア、心臓病施設16施設、循環器内科医82名を対象に無作為化、11693例の処方を対象にしました。2019年から2020年までデータ解析を行いました。消極的選択の介入では、循環器内科医は電子カルテにて、スタチン開始またはスタチン増量の選択肢のアラートを手動でアクセスしました。積極的選択の介入では、ガイドライン指示のスタチン投与を承認するか、却下するか、循環器内科医に自動でアラートを表示しました。対照群の循環器内科医は試験の情報提供は受けましたが、介入は受けませんでした。主要評価項目は臨床ガイドラインに基づいた至適用量のスタチン投与としました。副次評価項目は用量を問わずにスタチン投与の有無としました。結果、11693例、平均年齢63.8歳、男性58%、 白人66%、黒人24%でした。動脈硬化性心血管疾患10年リスクスコアの中央値15.4、動脈硬化性心血管疾患の臨床診断68%でした。ベースラインの至適用量のスタチンの処方率は、対照群40.3%、消極的選択介入群39.1%、積極的選択介入群41.2%でした。調整後解析にて、至適用量のスタチン処方率の変化は、対照群と消極的選択介入群(adjusted difference in percentage points, 0.2; 95% CI, −2.9 to 2.8; P = .86)、対照群と積極的選択介入群(adjusted difference in percentage points, 2.4; 95% CI, −0.6 to 5.0; P = .08)、有意差を認めませんでした。臨床的動脈硬化性心血管疾患の調整後サブ解析では、積極的選択介入群は対照群と比べて、スタチンの処方が有意に増加(adjusted difference in percentage points, 3.8; 95% CI, 1.0-6.4; P = .008)を認めました。他のサブ解析は有意ではありませんでした。いずれの介入群でスタチンの処方率は有意な変化を認めませんでした。消極的選択介入、積極的選択介入はスタチン処方を変えませんでした。臨床的動脈硬化性心血管疾患のサブグループにおいて、積極的選択介入は至適用量のスタチン処方の少しの増加につながりました。さらなる研究によって、情報提供のデザイン、ターゲットの検証が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2771460
電子カルテでガイドラインに基づいたスタチン処方のアラートを表示させると処方はどうなるか介入した研究です。全体としては有意差はありませんでしたが、動脈硬化性心血管疾患の既往ありの例ではスタチンの処方が増加したとのことです。面白い研究ですね。


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