2020/11/15、心血管ハイリスクに対して高用量オメガ3脂肪酸の主要有害心血管事象への影響をコーン油と比較した研究「Effect of High-Dose Omega-3 Fatty Acids vs Corn Oil on Major Adverse Cardiovascular Events in Patients at High Cardiovascular Risk The STRENGTH Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/11/15、心血管ハイリスクに対して高用量オメガ3脂肪酸の主要有害心血管事象への影響をコーン油と比較した研究「Effect of High-Dose Omega-3 Fatty Acids vs Corn Oil on Major Adverse Cardiovascular Events in Patients at High Cardiovascular Risk The STRENGTH Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。オメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid: EPA)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid: DHA)は心血管リスクを減少するかどうかは十分にわかっていませんでした。エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、オメガ3脂肪酸は、動脈硬化性脂質異常症、心血管ハイリスクにおいて、脂質、炎症性マーカーに好ましい影響が報告されていますが、心血管転帰に与える影響を調べるために、心血管ハイリスク、高中性脂肪血症、HDLコレステロール値低値、スタチン投与中を対象に、オメガ3脂肪酸とコーン油(corn oil)、2014年から2017年まで参加登録、2020年まで追跡、二重盲検無作為化多施設試験を実施しました。北アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、22カ国、大学病院または市中病院675施設、全13078例が参加しました。介入群はオメガ3脂肪酸1日4g投与6539例、対照群としてコーン油投与6539例、無作為化、スタチンを含む標準治療に追加しました。有効性の主要評価項目は心血管死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建、不安定狭心症入院の複合としました。結果、主要評価項目事象1384例、計画性のものは1600例、暫定解析にてオメガ3脂肪酸はコーン油の対照群と比べて、臨床的な有益性がある可能性が低いことが示唆されたことに基づいて、試験は早期終了となりました。13078例、平均年齢62.5歳、女性35%、糖尿病70%、LDLコレステロール値の中央値75mg/dL、中性脂肪値の中央値240mg/dL、HDLコレステロール値の中央値36mg/dL、高感度CRP値の中央値2.1mg/dL、12633例(96.6%)主要評価項目の評価完了しました。主要評価項目は、オメガ3脂肪酸群785例(12.0%)、コーン油群795例(12.2%)、有意差(hazard ratio, 0.99 [95% CI, 0.90-1.09]; P = .84)を認めませんでした。胃腸有害事象の発生率はオメガ3脂肪酸群(24.7%)は、コーン油群(14.7%)と比べて、高率でした。心血管ハイリスク、スタチン投与を受けている例において、通常治療に加えて、オメガ3脂肪酸を追加することは、コーン油を追加することと比べて、主要有害心血管事象の複合転帰において有意差を認めませんでした。本所見からハイリスク群に対して、主要有害心血管事象減少のためにオメガ3脂肪酸を使用することは支持はしません。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2773120
オメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸は心血管疾患を減らすかどうか調べた「STRENGTH」試験の結果、心血管疾患を減らさなかったという報告です。対照群はコーン油です。心血管転帰を改善しないとなると保険適応する意味は希薄化しますね。


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